バナバ

banaba
オオバナサルスベリ(大花百日紅)
Lagerstroemia speciosa

バナバとは、ミソハギ科サルスベリ属の植物です。フィリピンではありふれた植物ですが、コロリン酸や亜鉛を豊富に含んでおり、その健康効果は非常に優れたものであることが様々な研究で認められています。
バナバは血糖値を下げる効果や、活性酸素を除去する効果などをもちます。

バナバとは

●基本情報
バナバはミソハギ科サルスベリ属の落葉高木で、インド、東南アジアから北オーストラリアまでの熱帯地域に分布します。
日本で夏に咲くサルスベリ(百日紅)と同属で、高さが5~10mになり、葉の形は卵形で、色は濃緑色をしています。
バナバの花は匙形でしわが多く、朝は淡紅色で夕方に紫色に変化します。
バナバの葉を乾燥させて煮だした茶は『女王でも手の届かないお茶』と呼ばれていますが、フィリピンではどこにでも生えているありふれた植物です。バナバとは、フィリピンのタガログ語での愛称です。日本では、大花サルスベリともいわれていますが、バナバが一般的です。
フィリピンではバナバを観賞用植物として庭先に植えたり、薬用植物としてバナバ茶として飲みます。また、一部の地域では煮出した葉や種を食べる習慣もあるといわれています。
バナバの歴史は古く、一説によると、約1000年前から健康維持のために健康茶として飲まれていたと伝えられています。
バナバ葉には、カフェインが含まれていませんので、子どもや妊婦の方でも安心して摂取することができます。
また近年ではバナバの抽出エキスがサプリメントとして販売され、広く生活習慣病予防に利用されています。

●バナバに含まれる成分と性質
バナバは、豊富な栄養素とその効果により、フィリピンで1987年に薬用植物の指定を受けています。
バナバの葉には天然の微量元素やミネラルも豊富で、中でも食物繊維が乾燥バナバ葉100g中に約50gと豊富に含まれています。
バナバ葉の成分分析では、主成分はタンニン、グルコース、配糖体ですが、インスリンに似た働きをもつコロソリン酸という物質も含まれていることが発見されました。
このコロソリン酸は他の茶葉には見られない成分で、血糖値を下げる働きをします。
他の健康茶と比較すると、微量元素のカルシウムやカリウム、マグネシウムが多く含まれています。
ミネラルは人間の活動に欠かせない成分であり、不足することにより骨粗しょう症や肌荒れ、貧血、肥満、睡眠障害、疲労蓄積などの様々な悪影響が生まれます。
さらに、バナバには植物には珍しく亜鉛が含まれていることも特徴のひとつです。

<豆知識>コロソリン酸とは
フィリピン産業技術発明協会の科学者はバナバの葉の抽出物の中の活動成分であるコロソリン酸がインスリンと似たアミノ酸から構成されている成分である事を発見しました。
糖尿病を誘発させたハツカネズミと正常のハツカネズミを使い、抗糖尿性活動についてテストを行いました。
その結果、インスリンに似たアミノ酸で構成されているコロソリン酸という成分が血糖値を下げる効果があることを確認しました。
バナバには、カルシウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルの他、タンニンやコロソリン酸などの有効成分を豊富に含んでいるため、以下のような効果が期待できます。

バナバの効果

●活性酸素を除去する効果
体内につくられた活性酸素を除去する働きは、抗酸化作用と呼ばれます。
近年、大きな社会問題となっているガンや脳卒中などの生活習慣病の発病には、高い確率で活性酸素が関与しています。
活性酸素とは、紫外線・喫煙・ストレスなどで体内に発生し、細胞や血管など人体の様々なところにダメージを与えます。
また、活性酸素は生活習慣病だけでなく、人体の老化や様々な病気を引き起こす原因だといわれています。
バナバに含まれる糖の一種には、活性酸素の働きを抑制する効果が実験により証明されているため、バナバには抗酸化作用がある事が認められています。

●血糖値を下げる効果
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の量を表す数値です。
不規則な生活習慣が原因で、血糖値が正常に保たれなくなると、糖尿病が引き起こされます。
生活習慣病のひとつであり、エネルギーとして使われるはずの糖がうまく細胞に取り入れられず、血液中に残ってしまい、血糖値が高くなってしまいます。
糖尿病が悪化すると、全身の血管や神経などに悪影響を及ぼし、合併症や動脈硬化を引き起こしてしまいます。
葉の含有成分のコロソリン酸にはブドウ糖の細胞への取り込みを促し、血糖値が高いと下げ、低い人には影響しないという働きがあります。
細胞を用いた実験ではバナバ葉に含まれるコロソリン酸がインスリンと同じように糖を細胞内に速やかに吸収させることを発見し、論文として発表されています。
近年の研究では、コロソリン酸が細胞内のたんぱく質に働きかけ、糖を細胞内に取り込むメカニズムを解明するとともに、動物実験によってコロソリン酸の血糖上昇抑制作用が確認されています。
さらに、ヒトに対してもコロソリン酸が血糖値上昇抑制作用があることを確認し発表されています。このことからもバナバは血糖値を下げる効果があるといえます。
また、バナバに含まれるタンニンにはコレステロールを下げる働きがあるため、コレステロール値にも良い働きをすると考えられます。【1】【2】【3】【5】

●便秘を解消する効果
水溶性食物繊維は、水に溶けゲル化し、人間の体に好ましくない物質の吸収を妨げ、便として排泄させる働きがあります。
バナバは食物繊維を豊富に含んでいるため、腸内清掃に多大な効果を発揮しています。
食物繊維は副作用無くお通じを良くしますが、便秘を解消することで腸内環境を整えることにもつながり、様々な病気の予防になります。【4】

バナバは食事やサプリメントから摂取できます

こんな方におすすめ

○生活習慣病を予防したい方
○糖尿病の方
○便秘でお悩みの方

バナバの研究情報

【1】Ⅱ型糖尿病患者を対象に、バナバ抽出物を1日あたり32, 48mgの2週間摂取させたところ、血糖値が改善されたことから、バナバは糖尿病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12787964

【2】バナバ抽出物に含有されている成分エラジタンニンはインスリン様作用をもつことから、バナバは糖尿病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11859474

【3】Ⅱ型糖尿病マウスにバナバの葉から熱水抽出(5%)を12週間飲用させた結果、HbA1Cおよび肝臓脂肪を抑制されたことから、バナバに糖尿病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10737232

【4】成人男女20,630名において、性別や摂取栄養素、ライフスタイルと排便回数との関係を調査した結果、食物繊維が多い人ほど、排便回数が多いことが確認され、食物繊維に腸環境を整えるはたらきが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14972075

【5】血糖値が気になる以下の人で糖尿病薬を服用していない患者をバナバ摂取(コロソリン酸として1mg以上)群またはプラセボ群に分け、それぞれ8週間飲用しました。その結果、バナバ群は、糖負荷120分後の血糖値及び血中インスリン濃度が有意に低下し、またAUCも有意に低下し、細胞への糖の取り込みが促進されたことから、バナバは糖尿病予防効果が期待されています。
https://jglobal.jst.go.jp/detail.php?JGLOBAL_ID=200902141189322571

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参考文献

・五明紀春 食材健康大事典 時事通信社

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・大森正司 ワイド版 日本茶紅茶中国茶健康茶 日本文芸社

・藤田紘一郎 知識ゼロからの健康茶入門 幻冬舎

・竹内久直 バナバ茶で糖尿が消えた ハート出版

・馬場茂明 肥満、糖尿病、便秘、高血圧など生活習慣病の予防に バナバ 美健ガイド社

・Judy WV, Hari SP, Stogsdill WW, Judy JS, Naguib YM, Passwater R. (2003) “Antidiabetic activity of a standardized extract (Glucosol) from Lagerstroemia speciosa leaves in Type II diabetics. A dose-dependence study.” J Ethnopharmacol. 2003 Jul;87(1):115-7.

・Hayashi T, Maruyama H, Kasai R, Hattori K, Takasuga S, Hazeki O, Yamasaki K, Tanaka T. (2002) “Ellagitannins from Lagerstroemia speciosa as activators of glucose transport in fat cells.” Planta Med. 2002 Feb;68(2):173-5

・Suzuki Y, Unno T, Ushitani M, Hayashi K, Kakuda T. (1999) “Antiobesity activity of extracts from Lagerstroemia speciosa L. leaves on female KK-Ay mice.” J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 1999 Dec;45(6):791-5.

・Sanjoaquin MA, Appleby PN, Spencer EA, Key TJ. (2004) “Nutrition and lifestyle in relation to bowel movement frequency: a cross-sectional study of 20630 men and women in EPIC-Oxford.” Public Health Nutr. 2004 Feb;7(1):77-83.

・池田義雄 、野口宗親、増田一裕 (2001) “「血糖値が気になる人」におけるバナバ抽出エキス投与による有効性および安全性” プラクティス 巻:18 号:4 ページ:439-445

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