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作成日 2011年08月21日
更新日 2015年11月26日

クロセチン

crocetin

クロセチンとは、クチナシの果実やサフランに含まれる黄色の天然色素で、強い抗酸化力を持ちます。
眼精疲労を改善したり、疲れ目からくる肩こりや血流の改善に効果的な成分です。また、睡眠障害を改善する効果もあるとして、研究が進められています。

クロセチンの健康効果
◎眼精疲労を軽減する効果
◎光による目の障害を抑える効果
◎血流を改善する効果
◎疲れ目からくる肩こりを改善する効果
◎睡眠障害を改善する効果

目次

クロセチンとは?

●基本情報
クロセチンとは、クチナシの果実(種子)や、香辛料・高級ハーブとして知られているサフランに含まれる黄色の天然色素で、カロテノイドの一種です。
カロテノイドとは、植物に多く含まる脂溶性の成分で、天然に存在する色素の一種です。にんじんに含まれるβ-カロテンや、トマトに含まれるリコピンも、クロセチンと同じカロテノイドに分類されます。
クロセチンは、世界各国で生薬やスパイスとして広く利用されています。日本では、天然の着色料として、栗きんとんやたくあん、中華麺などの色づけに使用されています。
また強い抗酸化力[※1]を持っており、体内の酸化[※2]を防いでくれます。そのパワーから世界中の研究者が機能性を高く評価し、様々な研究が行われています。

●クロセチンの原料
クロセチンは、クチナシの果実やサフランから抽出されます。
クロセチンの原料となるクチナシは、学名をGardenia jasminoidesといい、アカネ科クチナシ属の常緑低木です。正岡子規の歌に詠まれるほど香りが良く、美しい花を咲かせることで有名で、10月~11月に赤黄色の実をつけます。この実からクロセチンが抽出されます。
クチナシは東アジアに広く分布しており、日本では九州から沖縄に自生しています。また、白く美しい花を咲かせるため、園芸用としても人気がある植物です。
クチナシの果実を乾燥させ、抽出したエキスはクロセチンを含むため、古くから黄色の着色料として用いられました。これは食品・繊維両方に使用されており、今でも様々な着色料として使用されています。
また、クチナシの果実は、日本では山梔子(さんしし)とも呼ばれ、煎じて黄疸などに用いられる生薬のひとつです。黄連解毒湯や温清飲、五淋散などの漢方に使用されています。
クチナシの実1kgに対して、クロセチンは5gしか抽出することができません。このことからも非常に貴重な成分であることがわかります。

また、クロセチンの原料となるサフランは、英名をsaffron crocus、学名をCrocus sativus L.といい、アヤメ科クロックス属の多年草です。サフランは着色や香りづけに用いられる高価なスパイスとして知られています。サフランライスなどは、サフランで色づけされた最も一般的なものです。
サフランのめしべは、紀元前からヨーロッパで香料や着色料として利用されてきました。古代ギリシャでは、サフランの黄色が珍重されており、王族だけが使用を許されるロイヤルカラーとされた時代もあったといわれています。
サフランは、日本へは江戸時代に薬として伝わってきました。日本国内でのサフランの栽培は、1886年に神奈川県大磯町(旧国府村)の添田辰五郎が病気の母親のために、球根の輸入と栽培を試みたのが始まりといわれています。
1897年には内務省横浜衛生試験所の認定を受け、商品化・輸出されるようになり、吉良文平によって大分県武田市へ伝わりました。同市は日本国内の約8~9割のサフランが生産されるようになり、名産地として知られています。
サフランは生薬として、番紅花(ばんこうか)とも呼ばれ、鎮静、鎮痛、通経作用があるとされています。
クロセチンは、サフランのめしべから抽出されるため、生産量はわずかで、1kgのめしべを収穫するためには、数万個の球根が必要といわれています。


●クロセチンの性質
クロセチンはカロテノイドの一種でありながら、油だけでなく水にも溶けやすい成分です。
また分子量が通常のカロテノイドの3分の2と小さいため、体内に吸収されやすいという特徴もあります。強い抗酸化力を持っており、体内に入ると活性酸素[※3]を除去する働きがあります。分子が小さいため、目に届きやすいという性質があり、極少量でもその抗酸化力を発揮できることから、サプリメントなどにも多く利用されています。

[※1:抗酸化力とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ力です。]
[※2:酸化とは、対象となる物質が酸素と結合し、電子を失う反応のことです。サビつきともいわれています。]
[※3:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素のことです。体内で過度に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]

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クロセチンの効果



●眼精疲労を軽減する効果
クロセチンは、眼精疲労に効果的な成分として知られています。
目は毛様体筋という筋肉が伸び縮みすることで、水晶体といわれるカメラでいうレンズの役割をする部分の厚みを調節します。それによってピントを調節し、近くと遠くにピントを合わせることができます。近くを見るときは、毛様体筋を緊張させ、水晶体を厚くしますが、この状態が長時間続くことによって毛様体筋がコリ固まってしまいます。さらに目の周りの血流が悪くなると、細胞や神経に酸素や栄養がうまく運ばれず、さらに目の疲れが溜まってしまいます。この状態が長時間続くことを眼精疲労といいます。
クロセチンは、分子量が小さいため、毛様体筋に直接働きかけることで、コリをほぐし眼精疲労を軽減する効果があります。

<豆知識>アスタキサンチンと一緒に摂るとさらに効果的
アスタキサンチンとは、鮭やイクラ、カニなどに含まれる赤色の天然色素で、強い抗酸化力を持ちます。
クロセチンは、アスタキサンチンと一緒に摂ることで互いに働き合い、眼精疲労を改善する効果がより強まります。また、アスタキサンチンには、筋肉の疲労や動脈硬化の改善、血糖値の低減などの効果もあり、生活習慣病を予防する効果も期待されています。【12】

●血流を改善する効果
クロセチンは抗酸化力が強く、血流を改善する効果があります。
血流が悪いと体内に栄養や酸素が正常に運ばれず、それによって疲労物質の蓄積や免疫力の低下などにつながってしまいます。血流不良の原因とされるもののひとつに、紫外線やストレスなどによって生じる活性酸素があります。活性酸素とは、人間が空気を吸う以上、体に必ず発生してしまうものですが、少量の発生であれば殺菌などの効果により、人間の体を守る働きがあります。しかし、活性酸素が大量に発生してしまうことにより、本来持つそのパワーから細胞を傷つけてしまい、それが老化の原因となってしまうのです。近年、紫外線やストレス、排気ガス、喫煙などにより現代人は多くの活性酸素が体内に発生していると考えられています。
クロセチンは、強い抗酸化力で体内の活性酸素を除去し、血流を改善する効果があることから、老化防止にも役立つと考えられています。

●疲れ目からくる肩こりを改善する効果
クロセチンには、疲れ目からくる肩こりを改善する効果があるといわれています。
疲れ目がひどくなってくると、目の周りの筋肉だけでなく、首周りの血流まで悪くなってしまい、それが肩こりにつながります。
クロセチンには血流を改善する効果があるため、眼精疲労を軽減するだけでなく、肩こりも和らげてくれる効果があります。

●光による目の障害を抑える効果
目は、紫外線やテレビ・携帯電話などの青色光によって網膜にダメージを受けたり、視力が低下したりと悪い影響を受けます。ものを見る上で、光は欠かせないものですが、強い光は目にとって良くないものとなるのです。
光によるダメージの蓄積は、黄斑変性症[※4]を招く要因にもなります。
マウスに強い光を照射したのち、クロセチンを投与したものを通常の光環境にて4日間飼育したときの視細胞の委縮と細胞死が抑制されたということが明らかとなりました。
これにより、クロセチンは光によるダメージから目を守り、さらには加齢黄斑変性症などの網膜障害を予防する可能性が示唆されています。【10】

●睡眠障害を改善する効果
クロセチンには、睡眠障害に対する効果も認められています。
睡眠は、疲労回復において非常に重要な生理現象です。不十分な睡眠は、疲労の回復を妨げるだけでなく、無気力感や脱力感をもたらす上、日中の作業効率を低下させます。このように、非常に重要な生理現象である睡眠に対してのクロセチンのもたらす効果を調べた研究があります。
睡眠に軽度の問題を感じている健常な男性に対し、クロセチンを2週間摂取させたところ、クロセチン摂取後は中途覚醒回数が減少したことが明らかとなっています。また、自覚症状についての評価でも、クロセチン摂取前と、摂取後では、目覚めの爽快感が増すなどの自覚症状の改善が示されました。
このことから、クロセチンは質の良い睡眠をもたらす効果があり、睡眠障害を改善する効果があるということが明らかになっています。【11】

[※4:黄斑変性症とは、目の黄斑部が加齢などによって変性し、ゆがみや視野狭窄が起こり、放置しておくと最悪失明につながる病気のことです。アメリカでの失明率第1位の病気です。]

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クロセチンは食事やサプリメントで摂取できます


クロセチンが含まれる食品

○たくあん
○栗きんとん
○サフランライス

こんな方におすすめ

○目の疲れが気になる方
○パソコン・テレビ・携帯電話などをよく使われる方
○細かい作業をよくする方
○疲れ目による肩こりでお悩みの方
○睡眠でお悩みの方

クロセチンの研究情報

【1】クロセチンの経口投与が、N-メチル-d-アスパラギン酸(NMDA)に誘発されるマウス網膜の損傷に及ぼす作用を検討しました。クロセチン投与により、NMDA誘発‐神経節細胞層(GCL)細胞死、INLの障害を減少させ、またカスパーゼ発現を阻害しました。また、網膜電位図におけるb波の振幅減少を抑制しました。このことから、クロセチンの経口投与は、NMDA誘発による網膜障害を抑制することが分かりました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22760072

【2】クロセチンがラットの出血性ショックによって引き起こされる腎機能障害に対して有益な効果があるかどうかを評価しました。クロセチンを、出血後40分、50mg/kgの濃度で十二指腸に投与しました。腎機能マーカー(クレアチニン、BUN)はクロセチン投与によって減少しました。さらに、腎中の活性酸素、腫瘍壊死因子およびインターロイキン6も、クロセチン投与によって減少しました。これらの結果から、クロセチンの投与は活性酸素種の産生を阻害し、出血のショックによって引き起こされる腎機能障害を改善することが考えられました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22576007

【3】血管内皮増殖因子(VEGF)によって誘導される血管新生に対するクロセチンの防御効果を評価しました。クロセチンは、in vitroで血管内皮増殖因子(VEGF)誘発によるヒトさい帯静脈内皮細胞(HUVEC)の血管新生を有意に抑制しました。また、p38(細胞遊走経路)の活性化を抑制しました。これらのことから、クロセチンは、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症に関する血管新生を抑制する働きがあると考えられます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22475394

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参考文献

・Ohno Y, Nakanishi T, Umigai N, Tsuruma K, Shimazawa M, Hara H. (2012) “Oral administration of crocetin prevents inner retinal damage induced by N-methyl-d-aspartate in mice.” Eur J Pharmacol. 2012 Sep 5;690(1-3):84-9. Epub 2012 Jul 1.

・Wang Y, Yan J, Xi L, Qian Z, Wang Z, Yang L. (2012) “Protective effect of crocetin on hemorrhagic shock-induced acute renal failure in rats.” Shock. 2012 Jul;38(1):63-7.

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