ジャスミン

jasmine
jasminum officinale

ジャスミンはローズと並んでもっとも愛されるハーブのひとつです。その魅惑的な香りが、心のバランスをとることに役立ち、日が沈んでから濃厚で甘い香りを漂わせるため、インドでは「夜の女王」と呼ばれています。リラックス効果もあり、心の緊張をときほぐしたい時におすすめです。

ジャスミンとは

●基本情報
ジャスミンはモクセイ科ソケイ属のハーブの一種です。インド、アフガニスタン、イラン、東南アジアといったアジアからアフリカの熱帯あるいは亜熱帯地方が原産です。
日本ではオオバナソケイやソケイといわれています。
このジャスミンという名前はペルシャ語に由来しており、中近東から欧米では女性の名前としても用いられます。
主に花の部分を使用します。ツル状に茎を伸ばして生長し、春に咲く白い花はとても甘い香りを放ちます。
草丈は約150~300cmが一般的です。開花時期には部屋に1鉢あるだけで甘美な芳香を部屋中に漂わせます。香水の原料としても使われますが、真夜中に咲き始める花から抽出される精油は、ほんのわずかしか採れないため、とても貴重です。

●ジャスミンの歴史
古くからインドでは儀式に欠かせない香りとして活用されていたものが、ムーア人(北西アフリカ・イスラム教徒)によって北アフリカやスペインに運ばれたようです。その後フランスに渡ったジャスミンは、さまざまな種類が栽培されるようになり、現在は鑑賞用も含めて100種類近くあります。ヨーロッパでは、17世紀後半に入って、ジャスミンの人気がピークを迎えました。18世紀の中国ではジャスミンの花が市場で取り引き開始されています。現在は日本でも人気のハーブです。

●ジャスミンの開花
ジャスミンの収穫時期として、花の最盛期は8月で、開花直後の花を摘みます。ジャスミンの開花は、まだ夜の明けない午前2時ころから始まり、ひんやりとした闇の中で神秘的で可憐な花を咲かせます。。

●ジャスミンの働き
ジャスミンは、軽いうつ、神経性呼吸障害、不眠、生理不順、消化管機能不全を予防したりやわらげる働きが期待されます。

●ジャスミンのとり入れ方
ジャスミンは優雅で甘い花の、スッキリとした味わいとエキゾチックな香りが魅力で、ほかのハーブや茶葉とのブレンドがおすすめです。
基本的には、花を乾燥させてジャスミンティーにしたり、デザートやドリンクに添えるなど香りを楽しむ使い方がほとんどです。優雅で甘い花の香りですっきりとした味わいを楽しむことができます。ほかのハーブ、紅茶、中国茶とのブレンドもよいですが、香りが飛びやすいので、少量ずつ買うか、できるだけ早めに使い切ることが大切です。
ハーブティーが苦手な方はポプリなどにしても良いでしょう。

●ジャスミンを摂取する際の注意点
ジャスミンの精油を出産の時や産後、気分が沈むときにたいてみると効果的です。しかし通経作用があるため妊娠中の方は注意が必要です。場合によっては使用を避けたほうが良いでしょう。

<豆知識>ジャスミンオイルの抽出方法
ジャスミンの花 約700kgから、ジャスミンの精油は1kgしか抽出されず、極めて高価です。花は夜間に開くので、開ききった明け方に人の手によって摘み取られ、有機溶媒による抽出が行われます。抽出後、溶媒を除去するとコンクリートと呼ばれるワックス状の芳香を持つ固体が得られ、これをエタノールで再度抽出し、その後エタノールを除去したものが、香料として使用されるジャスミン・アブソリュートです。
●リラックス効果
ジャスミンの持つ魅惑的な香りは心の緊張をときほぐし、幸福な気持ちにさせながら、心のバランスを保つ効果があります。さわやかなふんわりと広がる優しい香りとエネルギーが快活に心身を元気づけ、心に調和と回復パワーをもたらし、リラックス効果を発揮します。【1】【2】

ジャスミンの効果

●ストレスをやわらげる効果
魅惑的な香りは気分を高揚させるパワーがあり、落ち込んだ気分を回復させます。また神経の高ぶりとイライラ、緊張を鎮め、神経疲労やストレスが溜まってしまったときの不眠や気分の抑鬱にも効果的です。レモングラスやタイムといったほかのハーブと一緒に疲労時のリフレッシュティーとして飲用しても良いでしょう。【1】【2】
またエキゾチックな香りは人を官能的な気分にさせ、媚薬としても利用されてきました。またホルモンのバランスを整え、月経前症候群(PMS)、月経過多、更年期の諸症状といったお悩みや出産を促すという女性特有の生理生殖機能にも有効に働きかけます。

ジャスミンはこんな方におすすめ

○リフレッシュしたい方
○ストレスをやわらげたい方
○心を落ち着かせたい方

ジャスミンの研究情報

【1】ジャスミンの匂いが自律神経に与える影響が、心拍変動のパワースペクトルのHF(high frequency)成分と
LF(low frequency)成分の変化から調べられています。これらの値は交感神経と副交感神経の活動によって影響を受けるものです。ジャスミンの匂い刺激により、被験者のLF成分が有意に増大しました。このことから副交感神経の活動増大もしくは精神性負荷減少が起こっていることが示唆されています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004848824

【2】ジャスミンの匂いの刺激によって、血管の伸展性がよくなったという研究結果があります。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004814853

参考文献

・小黒 晃 初めてのハーブ作り 世界文化社

・佐々木 薫 ハーブティー事典 池田書店

・リエコ・大島・バークレー 英国流メディカルハーブ 説話社

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・三上杏平 カラーグラフで読む精油の機能と効用 フレグランスジャーナル社

・青木 孝志、足達 義則 (2006) “ジャスミンの匂いが心拍変動に与える影響(研究発表,第21回生命情報科学シンポジウム)” Journal of International Society of Life Information Science 24(1), 121-125, 2006-03-01

・青木 孝志、足達 義則 (2006) “ジャスミンの匂い刺激が加速度脈波に与える影響(セション<その他>,第22回生命情報科学シンポジウム)” Journal of International Society of Life Information Science 24(2), 332-336, 2006-09-01

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