本文へ


わかさの秘密トップ > 成分情報 > モリブデン

作成日 2011年08月25日
更新日 2015年11月17日

モリブデン

Molybdenum  Mo

モリブデンとは、代謝に関わる必須ミネラルのひとつで、肝臓、腎臓に存在する微量ミネラルです。
輝水鉛鉱 (きすいえんこう)という鉱石から発見された銀白色の金属で、人間の体内では酵素の構成成分となり、糖質や脂質の代謝を助ける役割を担っています。

モリブデンの健康効果
◎貧血を予防する効果
◎食道ガンを予防する効果

目次

モリブデンとは?

●基本情報
モリブデンとは、人が活動するために必要な代謝 [※1]に関わる必須ミネラルのひとつで、あらゆる動物の体内に存在します。人間の体内には約9mgあり、肝臓、腎臓に存在する微量ミネラルです。
体内での詳細な働きなどは明らかになっていませんが、酵素の構成成分となり、糖質や脂質の代謝を助ける役割を担っています。

モリブデンは、輝水鉛鉱 (きすいえんこう)という鉱石から発見された銀白色の金属です。硫黄と結合しやすい性質を持っており、輝水鉛鉱もモリブデンと硫黄からできる鉱石です。
モリブデンは産業上非常に重要な金属で、航空機やロケットのエンジンなどに使用されています。
また、モリブデンはステンレス鋼に添加されることが多く、ステンレスの包丁などにも利用されたり、潤滑剤などにも含まれています。

食品中に含まれるモリブデンの量は非常に微量で、その量を正確に分析することはとても難しいといわれています。そのため、食品成分表 [※2]にもモリブデンの量は掲載されていません。
モリブデンは植物性食品の中では、豆類に多く含まれています。その理由は、マメ科の植物は空気中の窒素を摂り入れており、モリブデンを含んだ酵素を持っているためです。動物性食品の場合は、モリブデンが肝臓にある酵素の成分として存在するため、レバーに多く含まれています。

●モリブデンの歴史
ギリシャ語で、鉛のことをモリブドス (molybdos)といいます。古代ギリシャ・ローマの頃から、鉛のような輝きを持つ軟らかい鉱物はモリブドスと呼ばれていました。その頃は、モリブデンと鉛や黒鉛の区別はされていませんでした。
その後1778年、スウェーデンの化学者シェーレによって、独立の元素であることがわかり、モリブデナイト(輝水鉛鉱)からモリブデンと命名されました。

●モリブデンの働き
モリブデンは、様々な代謝の過程で必要な酵素の働きを助ける、補酵素を構成する成分となって、代謝に関わっています。特に、モリブデンはキサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、亜硫酸オキシダーゼという酵素にとって必要不可欠です。これらの3種類の酵素は酸化還元反応 [※5]を促し、体内で起こる様々な代謝に関わりますが、特に尿酸を生成するときに重要な役割を担っています。
尿酸は、代謝の過程で発生する様々な物質が、体外に排泄されるために分解されてできる最終老廃物です。
モリブデンが構成成分となっているキサンチンオキシダーゼは、食品に含まれるプリン体 [※6]という物質の代謝に重要な働きをし、プリン体が分解されて尿酸がつくられる時に関わっています。
また、アルデヒドオキシダーゼや亜硫酸オキシダーゼは、たんぱく質を分解してできるアミノ酸の一種であるシステイン [※7]やメチオニンの分解に関わっています。
そのほか、モリブデンは酵素の構成成分となることにより、糖質や脂質の代謝を助ける働きもあります。【1】



●モリブデンの吸収
食事から摂取したモリブデンは、胃や小腸で吸収されます。モリブデンの体内での吸収率は高く、食品中に含まれるモリブデンの約75%が体内で使われると考えられています。また、過剰に摂取されたモリブデンは尿中に排泄され、排泄することにより体内のモリブデン濃度が一定に保たれています。

●モリブデンの欠乏症
人間に必要なモリブデンは微量であり、通常の食事から十分摂取することができるため、モリブデンの欠乏症はほとんど知られていません。しかし、可能性のある欠乏症として貧血、疲労、尿酸代謝障害、不妊などの症状が挙げられます。
完全静脈栄養 [※3]などを行うことによってモリブデンが不足した場合には、尿や血液中の尿酸の減少が起こったり、神経過敏、昏睡、頻脈などの神経症状が起こることがあります。
また、モリブデンが構成成分となっている酵素が遺伝的に欠損している場合、脳の委縮や痙攣、精神異常、目の水晶体異常などがみられます。
そのほか、アフリカや中国の土壌や飲料水中にモリブデンが少ない地域では、食道ガンの発生が多いという研究も報告されています。不足するとガンのリスクが高まる可能性があります。

●モリブデンの過剰症
過剰に摂取したモリブデンは、すぐに尿中に排泄されるため健康に害を及ぼす心配はありません。しかし、モリブデンは銅との関わりがあり、体内の銅の量が極端に少ない場合には、モリブデンの中毒症状が起こるリスクが高まります。
モリブデンの過剰が人間の健康に与える害について行われた研究はあまりなく、ほとんどの研究はラットやマウスによる動物実験によって行われています。それらの研究から、モリブデンの急性中毒では下痢をともなう胃腸障害や、昏睡、心不全によって死にいたる可能性があると考えられています。モリブデンの摂取量は多く、銅の摂取量が少ないアルメニア人では、高尿酸結晶や関節の痛みなど痛風 [※4]のような症状がみられたという報告もあります。これらのことから、モリブデンが体内で過剰になると尿酸の代謝に影響を与えると考えられていますが、詳細はまだ明らかになっていません。

モリブデンの摂取基準量は表の通りです。

[※1:代謝とは、生体内で物質が次々と化学的に変化して入れ替わることです。また、それに伴ってエネルギーが出入りすることを指します。]
[※2:食品成分表とは、日本食品標準成分表ともいい、文部科学省から公表される食品100 gあたりの食品成分の含量が示されたデータです。]
[※3:完全静脈栄養とは、栄養素を静脈から直接注入する方法のみで栄養素を補給することです。]
[※4:痛風とは、飲酒や過労、ストレスなどによって体内で核酸の代謝産物である尿酸がたまり、高尿酸血症が引き起こされることによって発症する病気です。足や手の関節が腫れて、激しい痛みを伴います。]

このページのトップへ

モリブデンの効果

●貧血を予防する効果
モリブデンは、銅の排泄や鉄の代謝にも関わっています。モリブデンは、血液をつくるために必要な鉄が不足すると、肝臓に蓄えられている鉄の運搬を助けて、鉄の利用効率を上げ造血を促す働きがあります。この働きにより、モリブデンは鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血を予防する効果があるといえます。
また、モリブデンと銅は相互作用し、銅の排泄を促します。銅が不足すると鉄の吸収や利用効率が下がるため、貧血を予防するためにもモリブデン、銅、鉄を含む食品をバランス良く摂取することが大切です。【2】

●食道ガンを予防する効果
モリブデンの欠乏症ははっきりと証明されていませんが、ある研究によりモリブデンの不足が食道ガンと関係あることが報告されています。
植物中のモリブデンの量は、植物が育つ土壌中のモリブデン量に影響されます。中国の土壌中のモリブデン濃度が低い地域では、食道ガンになる人が多いという研究結果があります。また、飲料用水中のモリブデン量が低い地域でも、食道ガンによる死亡率が高いということがわかりました。
現在はまだ研究が進められている段階のため、モリブデンとガンに関連性があるという証明はされていませんが、モリブデンが多く含まれる食品をバランス良く摂取することが健康につながります。【3】

[※5:酸化還元反応とは、ある物質から違う物質が生成される過程で電子・酸素・水素の授受が行われる反応のことです。]
[※6:プリン体とは、細胞の核を構成する成分のひとつで、特徴的な構造を持っています。]
[※7:システインとは、非必須アミノ酸の一種で、毛髪や皮膚、爪の多く存在し、肌の生まれ変わりを促進します。]

このページのトップへ

モリブデンは食事やサプリメントから摂取できます

モリブデンを含む食材

○レバー
○乳製品
○豆類、種実類
○穀類 

こんな方におすすめ

○貧血でお悩みの方
○食道ガンを予防したい方

モリブデンの研究情報

【1】モリブデン欠乏症の新生児では先天性難治性疾患を持つことが知られており、脳の大幅な委縮に見られる脳神経に対する障害と、尿酸生成不能が知られています。尿酸生成不能に関しては、モリブデンが構成要素である尿酸合成酵素キサンチンオキシダーゼの欠如によるものです。モリブデンには脳機能維持や尿酸合成機能に対して極めて重要な役割をはたすと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11720800

【2】貧血の一因として栄養不足が知られています。赤血球やヘモグロビンの合成には、鉄や葉酸、ビタミンB12の他にマグネシウム、コバルト、モリブデンが必要であることが知られており、モリブデンが不足すると貧血を引き起こす一因となると考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12264581

【3】イラン国内において、食道がん患者の多い地区の爪の亜鉛とモリブデンの含量を調査した結果、食道がん患者では、亜鉛とモリブデンの含量が低かったことから、モリブデンと亜鉛の不足と食道がんの発症率の関連性が示唆されています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18588371

このページのトップへ

参考文献

・中村丁次監修 最新版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・上西一弘 栄養素の通になる第2版 女子栄養大学出版部

・則岡孝子監修 栄養成分の事典 新星出版社

もっと見る

このページのトップへ

 

この成分を見た人はこんな成分も見ています