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作成日 2011年08月25日
更新日 2014年05月13日

パントテン酸

pantothenic acid

パントテン酸はビタミンB群のひとつで、エネルギーの代謝を助ける働きがあります。
そのほか、抗ストレス効果や、動脈硬化を予防する効果があり、全身の細胞で健康維持のために働く大切な栄養素です。

パントテン酸の健康効果
◎ストレスをやわらげる効果
◎動脈硬化を予防する効果
◎肌と髪の健康を保つ効果

目次

パントテン酸とは?

●基本情報
パントテン酸はビタミンB群 [※1]の1つで、ビタミンB群の中では5番目に発見されたことから、ビタミンBとも呼ばれていました。パントテン酸はあらゆる食品に含まれるほか、腸内細菌の働きによって体内でも合成することができます。
パントテン酸は、黄色く粘りのある液状の物質で、パントイン酸 [※2]とβ-アラニン [※3]という物質が結合してできています。水に溶けやすく、熱・酸・アルカリに弱いため、調理や加工によって損失しやすいのが特徴です。パントテン酸の入った食材を茹でると、含まれるパントテン酸の約半分が破壊されるといわれています。
体内では、カフェインやアルコールの摂取により、パントテン酸を消費することがわかっています。

パントテン酸は、多くの代謝 [※4]に関わる補酵素といわれる酵素の働きを助ける物質の構成成分となり、体内でエネルギーをつくり出したり、ストレスへの抵抗力をつけるために不可欠です。
全身の細胞、組織の健康維持に関わっています。

●パントテン酸の歴史
パントテン酸を発見したのは、アメリカのR. J. Williamsです。1933年、R. J. Williamsらが酵母の生育に必要な成分である「ビオス」を発見しました。このビオスは複数の物質から成ることがわかり、その中でも特に生物に広く利用されている酸を「パントテン酸」と命名しました。パントテンはギリシア語で「広くどこにでもある」という意味です。
その後1939年、肝臓や米ぬかから得られた成分で、欠乏するとニワトリが皮膚炎を起こす因子がパントテン酸である、ということが明らかになりました。
1940年にはパントテン酸を化学合成することに成功し、その構造が決定されました。
パントテン酸は名前のとおり、肉や魚などの動物性食品にも、野菜などの植物性食品にも幅広く含まれています。


●パントテン酸の働き
パントテン酸は、三大栄養素である炭水化物 (糖質)たんぱく質脂質の代謝を助け、エネルギーをつくり出す手伝いをしています。
食品から摂った炭水化物 (糖質)・たんぱく質・脂質などのエネルギー源は、体内で酵素によって分解され、新たにATP (アデノシン三リン酸)というエネルギー物質に変えられます。そして、作ったエネルギー物質ATPを身体活動に応じて利用し消費しています。これがエネルギー代謝です。
パントテン酸はビタミンB1とともに糖の代謝の中心的な役割を担ったり、ビタミンBとともに脂質代謝に関わります。体内でコエンザイムAという補酵素の構成成分となり、エネルギー代謝の過程で働く100種以上の酵素の働きを助けています。
また、パントテン酸は脂肪酸に結合することで炭水化物 (糖質)、脂質、たんぱく質から、エネルギーをつくり出す反応に関わるアセチルCoA や、脂肪酸の合成と分解に関わるアシルCoA をつくります。
アセチルCoAは、代謝の過程でつくられ、神経伝達物質・細胞膜の材料となるコリンを、神経伝達物質であるアセチルコリンに変えることで、神経細胞の合成を促し、神経伝達に関わる働きもあります。

●パントテン酸の欠乏症
パントテン酸は幅広い食品に含まれていて、さらに腸内細菌の働きによって体内でもつくり出すことができます。そのため、欠乏症はほとんどありません。欠乏したとしても、パントテン酸が不足するということは、通常ほかの栄養素も不足しているためパントテン酸のみの欠乏症かどうかを見極めるのは困難です。しかし、薬などで抗生物質を服用している場合、腸内細菌が働くことができず、パントテン酸が合成されないため、不足する恐れがあります。
パントテン酸が不足すると疲労感や頭痛、食欲不振、手足の知覚異常を起こすことがあります。人間の場合、欠乏症はほとんど報告されていませんが、第二次世界大戦中にアジアで低栄養の捕虜が足の焼けるような感覚を体験したときに、パントテン酸を補給することによって回復したという事例があります。
妊娠中・授乳中の女性は、通常よりもパントテン酸の消費が多いため、不足に注意する必要があります。
摂り過ぎたパントテン酸はすぐに尿として排泄されるので過剰症の心配はなく、多めに摂った場合でも特に問題ありません。

[※1:ビタミンB群とは、ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸の総称です。]
[※2:パントイン酸とは、有機化合物の一種です。]
[※3:β-アラニンとは、天然に存在するアミノ酸の一種です。]
[※4:代謝とは、体内で起こる化学反応で、体外から取り入れたものを体内で新しい物質につくり変えたり、つくり出したエネルギーを消費することです。] 

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パントテン酸の効果

● ストレスをやわらげる効果
パントテン酸はホルモンの合成にも関わっており、ストレスをやわらげる副腎皮質ホルモン[※6]の働きを促進させて、ストレスへの抵抗力を高める効果があります。
ヒトの体内では、ストレスが生じると副腎から副腎皮質ホルモンを分泌して血糖値を上げ、エネルギーを増大させてストレスに臨む体制を整えます。パントテン酸はこの副腎の働きを強化し、副腎皮質ホルモンの合成を促します。このことからパントテン酸は「抗ストレスビタミン」とも呼ばれています。
さらにビタミンB葉酸などとともに免疫力の強化に働くため、不足すると風邪をひきやすくなります。

● 動脈硬化を予防する効果
パントテン酸は、血中の善玉(HDL)コレステロールの合成促進に関わり、動脈硬化を予防する効果があります。
コレステロールは脂質のひとつで、食事から摂った後、主に肝臓でつくられて、細胞膜やホルモンの材料となります。このコレステロールはLDLとHDLという2種類のたんぱく質によって運ばれます。
肝臓から体の隅々にまでコレステロールを運ぶ役割が、LDLです。そして、余ったコレステロールを回収して肝臓に再び運ぶ役割をするのがHDLです。コレステロールがLDLやHDLによって運ばれている状態を、悪玉(LDL)コレステロール や善玉(HDL)コレステロールといいます。
どちらも体にとって必要で、LDLとHDLのバランスが取れていることが大切です。しかしLDLが多いと、余ったコレステロールが血管の内側の壁に付着して血管が硬くなり、動脈硬化 [※6]につながります。パントテン酸はHDLの合成を促進し、善玉(HDL)コレステロールを増やすことで、動脈硬化を予防します。

● 肌と髪の健康を保つ効果
パントテン酸はビタミンCの働きを助ける役割をしています。ビタミンCは、肌や髪の毛をつくるたんぱく質の合成に不可欠な成分です。特に、肌の奥にある真皮層の約70%は、コラーゲンというたんぱく質でつくられており、潤いや弾力を保っています。髪の毛もコラーゲンなどのたんぱく質でできているため、健康な髪の毛や肌のためにはビタミンCの働きが重要です。
パントテン酸は、このコラーゲンをつくるときに必要なビタミンCの作用を助け、髪や肌を正常に保ってくれます。【1】【2】【3】【6】【7】

[※5:副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質から分泌されるホルモンのことです。代表的なホルモンに、コルチゾールやアルドステロンがあります。]
[※6:動脈硬化とは、動脈にコレステロールや脂質がたまって弾力性や柔軟性がなくなった状態のことです。血液がうまく流れなくなることで心臓や血管などの様々な病気の原因となります。] 

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食事やサプリメントから摂取できます

○ 魚類:子持ちカレイ、うなぎ、いくら、たらこ
○ 肉類:レバー、鶏肉
○ きのこ類:ひらたけ、エリンギなめこ
○ 野菜類:アボカドモロヘイヤカリフラワー
○ その他:納豆、たまご 

こんな方におすすめ

○風邪をひきやすい方
○ストレスをやわらげたい方
○コレステロール値が気になる方
○健やかな髪を保ちたい方
○肌荒れでお悩みの方 

パントテン酸の研究情報

【1】ヒトの皮膚に、パントテン酸を5% 含む軟膏を塗布したところ、紫外線を照射による紅斑(皮膚表面の発赤)が減少したことから、パントテン酸が紫外線による皮膚の日焼けを防ぐ効果を持つことが示唆されました。

【2】皮膚細胞ケラチノサイトおよび線維芽細胞では、パントテン酸が減少することでケラチノサイトの増殖を抑制され、線維芽細胞におけるケラチノサイト成長因子およびプロコラーゲンの合成が減少したことから、パントテン酸が皮膚において重要な役割を果たすと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21258175

【3】ヒトの皮膚に、パントテン酸誘導体を含む製剤を塗布したところ、紫外線(UVA + UVB)からのダメージが抑制され、紫外線によってメチオニンスルホキシドレダクターゼ(MSR)のようなタンパク質修復酵素のmRNAが減少し、皮膚修復酵素が活性化しました。この結果より、パントテン酸は紫外線からの皮膚保護作用を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19818086

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参考文献

・中村丁次監修 最新版からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・上西一弘 栄養素の通になる第2版 女子栄養大学出版部

・中嶋洋子 栄養の教科書 新星出版社

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