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わかさの秘密トップ > 成分情報 > 飽和脂肪酸

作成日 2011年12月02日
更新日 2015年10月15日

飽和脂肪酸

saturated fatty acid
動物性脂肪

飽和脂肪酸とは、脂肪酸のうち炭素同士の二重結合を持たない脂肪酸のことです。短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸があり、牛や豚の脂肪やパーム油、バターなどに多く含まれます。エネルギーの生成やコレステロール値を上げる効果があります。

飽和脂肪酸の健康効果
◎エネルギーを生成する効果
◎コレステロール値を上げる効果
◎脂肪の蓄積を抑制する効果
◎脳出血を予防する効果    

目次

飽和脂肪酸とは

●基礎情報
飽和脂肪酸は、脂肪酸のうち炭素同士の二重結合を持たない脂肪酸[※1]のことで、牛の脂肪であるヘットや豚の脂肪のラード[※2]、乳脂肪のバターなどの動物性の脂質に豊富に含まれています。特に、牛肉中では飽和脂肪酸の割合が52%を占めており、バターにいたっては62%が飽和脂肪酸といわれています。飽和脂肪酸を多く含む脂肪は融点が高いため常温でも固体であることが多く、霜降り肉などの白い部分が飽和脂肪酸に当たります。人間の体内でもつくることができ、糖質から合成されます。

●飽和脂肪酸の働き
飽和脂肪酸は炭素鎖の長さによって、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の3つに分類されます。

・短鎖脂肪酸
炭素数が6個以下の脂肪酸で、酪酸やカプロン酸などに代表されます。バターや乳製品に豊富に含まれており、体内で腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を発酵することにより生成されます。体内では細胞の増殖や粘液の分泌のためエネルギー源や脂肪を合成する材料となります。

・中鎖脂肪酸
炭素数が8~12程度の脂肪酸で、ラウリン酸やカプリル酸、カプリン酸に代表されます。母乳や牛乳、パーム油、ヤシ油に豊富に含まれています。脂肪酸の中でも脂肪になりにくく、体内に余分なエネルギーをため込まないことが研究により明らかになってきています。

・長鎖脂肪酸
炭素数が12以上の脂肪酸で、牛や豚の脂に多いミリスチン酸やパルミチン酸[※3]、ステアリン酸[※4]、落花生の油に多いアラキジン酸があります。

●飽和脂肪酸の上手な摂り方
脂質にはエネルギーをつくり、血液や生体膜をつくる成分になるなど体内で重要な働きをしています。しかし、健康を維持するためには脂質の摂取量に注意し、さらに脂肪酸のバランスにも注意が必要です。脂肪酸には不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の2つに分類されます。飽和脂肪酸は重要なエネルギー源ですが、摂取量が多すぎると生活習慣病のリスクを高くすることが分かっています。特に、近年では摂取量が増加傾向にあるため控えることがよいとされています。
日本人の脂肪の摂取量は動物性食品、植物性食品、魚類由来のものから4:5:1の割合で摂取しているといわれています。しかし、望ましい摂取比率は3:4:3が理想とされています。
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準[※5](2015年版)では、飽和脂肪酸の摂取目標を総エネルギーに占める割合(%エネルギー)で示しています。18歳以上の成人では男女ともに7.0%以下を目標としています。

<豆知識>飽和脂肪酸が多いマーガリン
マーガリンの原料は植物油ですが、その植物油に含まれる不飽和脂肪酸に水素を添付して飽和脂肪酸に変えてつくられています。そのため、原料となるパーム油やヤシ油は植物油ですが、飽和脂肪酸のパルミチン酸やラウリン酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変化させることで、形状をバターに似せています。

[※1:脂肪酸とは、炭素、水素、酸素から成る油脂や蝋(ろう)、脂質などの構成成分です。脂肪酸とグリセリンが結び付いて脂質が構成されます。]
[※2:ラードとは、豚の脂から精製された食用油脂のことです。]
[※3:パルミチン酸とは、ステアリン酸やオレイン酸とともに広く動植物界に分布し、特にパーム油中に多く含まれている脂肪酸のことです。]
[※4:ステアリン酸とは、生体内に見られる高級飽和脂肪酸の一種のことです。]
[※5:日本人の食事摂取基準とは、厚生労働省が健康な個人または集団を対象として、国民の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものです。]

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飽和脂肪酸の効果



●エネルギーを生成する効果
飽和脂肪酸はエネルギーを作る効果があります。飽和脂肪酸などの脂質は1gで約9kcalのエネルギーをつくることができるため、とても効率のよいエネルギー源だといえます。また、余分なエネルギーは体内で皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられ、十分にエネルギーが供給できないときに必要に応じて脂肪を変換してエネルギーにしてくれます。

●コレステロール値を上げる効果
飽和脂肪酸はコレステロールのもととなり、コレステロール値や善玉(HDL)コレステロール値[※6]を上昇させる効果があります。善玉(HDL)コレステロールには血管のコレステロールを回収して肝臓に運び、動脈硬化[※7]を予防する働きがあります。しかし、悪玉(LDL)コレステロール[※8]はコレステロールを体の末端へ運ぶ役割があります。そのため、悪玉(LDL)コレステロールが増加すると血管をつまらせる原因となるので、摂りすぎには注意が必要です。

●脂肪の蓄積を抑制する効果
飽和脂肪酸のうちの中鎖脂肪酸には体脂肪の蓄積を抑制する効果があります。一般的な長鎖脂肪酸は、体内に入りリンパ管や静脈を通ってエネルギーになり、余ったエネルギーは皮下脂肪や内臓脂肪として体内に蓄積されます。そこから必要に応じてエネルギーに変換されます。
一方、中鎖脂肪酸は肝臓へ通じる門脈[※9]を通り、肝臓に運ばれすぐにエネルギーに分解されます。そのため、体内に蓄積されにくいと考えられます。
肥満女性を対象にした研究では、摂取カロリーを2200kcal以下に制限し、中鎖脂肪酸を8.9g/日摂取させたところ1~2週間後に体脂肪の蓄積が抑制されたという結果が出ています。【3】【4】【5】

●脳出血を予防する効果
飽和脂肪酸には脳出血の予防効果があります。飽和脂肪酸が不足すると血管がもろくなるため、脳出血や脳卒中の原因になると考えられます。日本人40~69歳の男女を対象にした研究では、飽和脂肪酸の摂取量が少ないと血圧や肥満度、コレステロール値、喫煙、アルコール摂取量などを考慮しても脳出血の罹患率[※10]が増加したという結果が出ています。また、45歳以上の男性を対象にした研究では飽和脂肪酸の摂取量が10g/日未満の場合、10年間の脳卒中での死亡率が10g/日以上摂取している人の約2倍になることが報告されています。【1】【2】

[※6:善玉(HDL)コレステロールとは、血管壁に溜まった余分なコレステロールを抜き取って、肝臓に運ぶ機能がある物質です。動脈硬化などを防ぐ役割があります。]
[※7:動脈硬化とは、動脈にコレステロールや脂質がたまって弾力性や柔軟性がなくなった状態のことです。血液がうまく流れなくなることで心臓や血管などの様々な病気の原因となります。]  
[※8:悪玉(LDL)コレステロールとは、肝臓から血管にコレステロールを運ぶ機能を持った物質です。悪玉(LDL)コレステロール値が高くなると、動脈硬化の原因になるといわれています。]
[※9:門脈とは、脾臓や消化器から流れた血液を集めて肝臓へ運ぶ静脈、肝門脈のことです。]
[※10:罹患率とは、病気の発生率のことです。]     

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食事やサプリメントで摂取できます


飽和脂肪酸を多く含む食材
○牛脂
○ラード
○ヤシ油
○パーム油
○牛乳
○バター
○魚介類

こんな方におすすめ

○丈夫な体をつくりたい方
○疲れやすい方
○体力を増強したい方
○活力を付けたい方

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飽和脂肪酸の研究情報

【1】日本人40~69 歳の男女を対象にしたコホート研究において、飽和脂肪酸の摂取量が少ないと、交絡変数(血圧、肥満度、コレステロール値、喫煙、アルコール摂取量)の調整を加味しても脳出血罹患率の増加が認められました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12505888

【2】広島、長崎在住の中年男性1,366 人について4年間の脳出血(臨床症状から診断)の罹患を調べた結果、飽和脂肪酸の摂取量が少ないと、脳出血罹患の増加が認められました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6695420

【3】BMI値が27から33の男女31名 (19~50歳、試験群16名) を対象とした無作為化比較試験において、16週間、摂取エネルギーを男性1,800 kcal/日、女性1,500 kcal/日に制限し、その12% (男性24 g/日、女性18 g/日) を中鎖脂肪酸から摂取させたところ、開始前と比較して空腹時血糖値、総コレステロール値、拡張期血圧の低下が認められました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18845704

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参考文献

・中嶋洋子 栄養の教科書 新星出版社

・中屋豊 よくわかる栄養学の基本としくみ 秀和システム

・堀口美恵子 栄養学 食と健康 三共出版

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