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作成日 2011年08月22日
更新日 2015年11月26日

セントジョーンズワート

St John's Wort 
西洋弟切草  セイヨウオトギリソウ

セントジョーンズワートは、うつ病の症状改善と安全性が医学的研究により実証されており、世界的な実績と信頼を獲得しているハーブです。ハーブ先進国であるドイツを筆頭にヨーロッパ等の国々では、治療薬として認可されています。日本国内では、精神を落ち着かせる効果があることから、サプリメントの原料として注目を集めています。

セントジョーンズワートの健康効果
◎うつ症状を改善する効果
◎不眠を解消する効果
◎更年期障害や月経前症候群の症状を改善する効果

目次

セントジョーンズワートとは

●基本情報
セントジョーンズワートは、日本では西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ)と呼ばれる根茎性の多年草ハーブの一種で、花びらの端に黒い点のついた黄色の明るい花を咲かせます。名前の由来となったセントジョーンズとは、聖ヨハネ(英名セント・ジョン)を意味しています。聖ヨハネの誕生日(6月24日)頃までに咲くこの花の花びらをこすると、赤い液体がにじみ出たことから、古代ヨーロッパでは魔除けに使われていました。
セントジョーンズワートの民間薬としての利用の歴史は古く、古代ギリシア時代に遡ります。その薬効成分が様々な不調や病気の改善に効果があるといわれ、ヨーロッパでは昔から「悪魔を追い払うハーブ」として用いられてきました。外用として切り傷や火傷の治療、内服では不眠症や更年期症状、うつ症状の治療薬として重宝されてきました。

●抗うつ薬にも勝るとも劣らないハーブ
セントジョーンズワートがうつ病の治療薬として注目を集めたのは、1980年代になってからのことです。著名なイギリスの医学誌に、ハーブに関する30例の研究が取り上げられ、セントジョーンズワートが抗うつ剤と同様の効果を示すという発表がなされました。症状が改善した上、副作用もみられなかったことから、一躍人気のハーブとなりました。
ハーブ活用の先進国であるドイツでは、神経系の回復強壮剤ともいえるセントジョーンズワートの優れた効能効果に関して、1980年代から数多くの臨床試験が行われてきており、うつ症状の改善と副作用の心配が少ない優れた安全性が実証されてきています。コミッションE[※1]は、セントジョーンズワートをうつ症状改善のための使用を承認しています。

一方、アメリカでは医薬品としてではなくサプリメントとして扱われていますが、「サンシャインハーブ」や「ハッピーハーブ」などと呼ばれ、心を前向きにして気分を向上・安定させる元気が出るサプリメントとして親しまれています。軽症度から中等度のうつ病、更年期障害、自律神経失調症などの症状を訴える人に愛用されています。

●日本でのセントジョーンズワートの利用
セントジョーンズワートの薬効成分を摂取するために、エキスを抽出したサプリメントが広く販売されており、日本でもうつ病や不眠症で悩む人などに用いられています。うつ病や睡眠障害のみならず、イライラやストレスによる不安を抑えて精神を安定させる効果があるとされ、利用されています。

●セントジョーンズワートに含まれる成分と性質
人間の脳内では、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった化学物質が神経細胞間の情報を伝達する役割をしています。ところが、うつ状態では、意欲や気分を高めるために必要とされるこれらの神経伝達物質が減少しています。
セントジョーンズワートには、神経伝達物質を分解するモノアミン分解酵素の働きを抑えるヒペリシンの作用と、 脳内にあるセロトニンが他の神経細胞に再吸収されるのを防ぐヒペルフォリンの作用があり、この2つの有効成分の相互作用によって、脳の神経伝達物質のバランスを整え、気分の落ち込みをやわらげることでうつ症状を改善させると考えています。

●摂取の際の注意点
セントジョーンズワートは、単独で使用した場合の副作用はほとんどありません。ただし妊娠中、授乳中の経口摂取は、危険性が示唆されているため注意が必要です。
副作用がおこる可能性としては非常に低いと考えられ、その主な症状は胃腸の不調、口の渇き、めまい、日光過敏症[※2]です。すべての副作用はセントジョーンズワートの摂取をやめるとすぐに消えていきます。
持病を持つなどして薬を飲んでいる場合、他の医薬品と併用する際には十分注意が必要です。セントジョーンズワートは肝臓での薬剤代謝酵素に影響を及ぼし、他の医薬品の血中濃度を変化させてしまいます。具体的には、鎮痛薬、抗うつ薬(SSRI)、ジゴキシン(強心薬)、経口避妊薬(ピル)、テオフィリン(気管支拡張薬)、抗てんかん薬、インジナビル(抗HIV薬)、 抗不整脈薬、ワーファリン(血液凝固防止薬)などを服用している場合、薬の効き目が弱くなったり、副作用が強く出る可能性があるため、服用する前に医師への確認が必要です。

[※1:コミッションEとは、ドイツ連邦保健庁の薬用植物の評価委員会のことです。 医薬品としてハーブを利用する際、安全性・効果の評価の実施、医薬品として承認するための組織です。]
[※2:日光過敏症とは、日光に当たった部分に発疹や発赤などの皮膚症状がでることです。]

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セントジョーンズワートの効果



●うつ症状を改善する効果
脳内の神経細胞はシナプス[※3]を通じて情報伝達が行われています。うつ症状は、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン等の気分の調節に関わるモノアミン(神経伝達物質)が欠乏すると起こるとされています。
セントジョーンズワートには、他のハーブにはほとんど含まれていないヒペリシンという特有の成分があり、セロトニンを分解する酵素の働きを抑え、セロトニンの濃度を上げると考えられています。そして、脳細胞から放出されたセロトニンは、すべてが脳細胞に届くわけではなく、もとの脳細胞に戻ってしまう性質を持っていますが、ヒペルフォリン成分がセロトニン再取り込みを抑える働きを持っているため、これらが脳の神経伝達物質のバランスを整えて機能回復を図り、うつ症状を改善します。

1993年ドイツで行なわれた臨床試験では、ストレス症状、うつ症状に悩む3250名に対して、1日に300mgのセントジョーンズワートを3回摂取する試験が4週間の期間で行なわれました。結果、82.8%が 「症状が改善した、もしくは症状が無くなった」 と返答し、医師による客観的評価でも、79.9%が 「症状が改善した、もしくは症状が無くなった」と報告しているという臨床試験が行われています。
また、他の臨床試験ではドイツにてセントジョーンズワートとプラセボ(偽薬)による二重盲検法の試験が行なわれた。6週間の期間、72名の半数にセントジョーンズワート300mg、その他の半数にはプラセボ(偽薬、つまり何の効果も持たないニセ薬)が1日3回投与されました。結果、セントジョーンズワートを摂取した81%にうつ病の症状の改善がみられたという報告があります。【1】【2】【3】【7】【8】

●不眠を解消する効果
うつ病が起こる原因には様々な事柄が関連していますが、原因のひとつであるイライラやストレスは、体内のメラトニンというホルモンの不足により起きやすくなります。メラトニンはセロトニンから合成されるホルモンのため、脳内のセロトニン減少を抑えるセントジョーンズワートの働きによって、精神を安定させることができます。脳の活動を調節する役割を担うメラトニン不足が緩和されれば、不眠や睡眠障害からも脱出することができると考えられています。【4】

●更年期障害や月経前症候群の症状を改善する効果
更年期障害や月経前症候群の症状に見られるイライラや抑鬱感の原因のひとつに、脳内神経伝達物質セロトニンの分泌低下が考えられます。セントジョーンズワートを摂取することで、セロトニンの取り込みや分泌低下が抑えられ症状を改善することができます。

[※3:シナプスとは、脳内の神経細胞の間で神経伝達物質を信号としてやり取りしている部分のことです。]

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セントジョーンズワートはこんな方におすすめ


○イライラしやすい方
○ストレスをやわらげたい方
○心を落ち着かせたい方
○不眠でお悩みの方
○疲れやすい方
○月経前症候群や更年期障害の症状を緩和したい方

セントジョーンズワートの研究情報

【1】うつ病患者375名において、セントジョーンズワートを1日900mg 、6週間にわたって摂取させたところ、抗うつ作用が確認されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12153829

【2】セントジョーンズワートの抗うつ作用を示した研究報告は29報あり、セイヨウオトギリソウの摂取は抑うつ症状の改善に寄与する可能性が示唆されています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18843608

【3】不安神経症併発うつ病患者28名において、セントジョーンズワートエキスを1日1.8g とカバ抽出物 を1日2.66g を4週間摂取させたところ、うつ症状が改善したという自覚症状が得られました。この結果より、セントジョーンズワートには抗うつ効果があることが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19090505

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参考文献

・中屋豊 よくわかる栄養学の基本としくみ 秀和システム

・石原 茂正 編 機能性ハーブの生理活性 (株)常盤植物化学研究所

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