スターアニス

star anise
八角 大茴香 八角茴香 トウシキミ
Illcium verum hooker filius

スターアニスとはスパイスの一種で、香りの主成分であるアネトールやピネン、リモネン、フェランドレンなどが含まれています。スターアニスは、漢方やアロマテラピーに使用されており、胃の健康を保つ効果や食欲を増進する効果などがあります。

スターアニスとは

●基本情報
スターアニスとは、モクレン科シキミ属の常緑樹であるトウシキミの果実を乾燥させたもので、スパイスの一種です。
古くからあるこの常緑樹は中国南西部の原産と考えられており、樹高は9m強にまでなります。スターアニスの白い樹皮を、黄色の花と星型の果実が飾っています。この果実がまだ鮮やかな緑色をしているときに蒸溜して精油をとります。この精油はアニスに似た、それよりもさらに強い芳香を放ちます。スターアニスはチャイニーズアニス(トウシキミ)の別名で、緑色をしているところから、ときどきアニスベールと呼ばれます。これの日本産の種類であるシキミは有毒植物です。
中国が世界の総生産量の80%以上を占め、スターアニスを加えれば中華料理になるといわれるほど、中華料理にはなくてはならないスパイスとしてよく使用されます。日本では昔から香料として使用されています。

●スターアニスの歴史
スターアニスは、現在は中国南部と東南アジアの各地で広く栽培されています。古くからアジア料理などに使われており、中華料理には欠かせないスパイスです。ヨーロッパに最初にもたらされたのは、16世紀とされています。
スターアニスは日本では「八角」とも呼ばれ、八角形の星型をしているところから名づけられました。「大茴香」は香りがフェンネルに似ていることから名付けられ、英語圏ではアニスの香りにも似ており星型であることから、スターアニスと呼ばれています。
スターアニスは、16世紀末にイギリスの船乗りによって初めてヨーロッパに伝えられました。
東洋では、昔から宗教的に香料として用いていました。日本でも、戦国時代の武士は出陣のとき、かぶとの中にこの香をたきこめたといわれています。

●食材としての利用
莢(さや)をすりつぶすこともありますが、そのまま「香味」として使ったり、他のスパイスと合わせてスープ、煮込み、スープストックの風味づけに利用されることが多くあります。
中華料理になくてはならないスパイスで、とくに豚肉、鴨料理によく使用されます。肉の臭み消しの作用はありませんが、ロースト臭をとるのに役立つため、香りづけの目的で使用します。
フェンネルやアニスの代替品として利用することもできますが、その際はスターアニスのほうが香味が強いので、使用量をフェンネル、アニス使用時の3分の1以下にするとよいとされています。
甘い芳香感を生かすために使用するスパイスですが、スターアニス自体を食べても甘味はありません。中国のミックススパイスである五香(ウーシャン)[※1]の主要原料であり、リキュール類、とくにアブサン酒の重要な構成成分でもあります。

●スターアニスに含まれる成分と性質
スターアニスの精油には辛味と苦味を併せ持つ独特の香りの主成分、アネトールが含まれています。ほかにもピネンやリモネンなどが含まれています。
スターアニスの精油には、強力な駆風[※2]特性があるので消化器系に対して万能的な働きをします。また健胃作用もあるので、腹痛をやわらげたり、食欲を促進する効果があります。

●スターアニスを摂取する際の注意点
スターアニスは強力な精油で、神経系を刺激しすぎてしまうことがあります。アレルギー症になりやすい方は避けることが望ましいです。

[※1:五香(ウーシャン)とは、中国料理に使われる代表的なブレンドスパイスのことを指します。5種類のスパイスが使われ、陳皮シナモン、クローブの3種類が共通で、残り2種類は地方によって異なります。]
[※2:駆風とは、腸管内にたまったガスの排除をいいます。]

スターアニスの効果

●胃腸の健康を保つ効果
スターアニスの精油には、健胃作用や駆風作用があります。【1】
スターアニスに含まれるアネトールには、芳香があり、それが胃腸の調子を整え、鼓脹[※3]を治し、吐き気を抑える効果を持っています。また、腸のぜん動運動[※4]を刺激することから、便秘にも効果があるとされています。

●食欲を増進させる効果
スターアニスに含まれるリモネンは、交感神経を刺激し血行を促し、体内の代謝、消化活動を活発にして唾液の分泌を促進することで消化吸収を高める効果があります。
このことからスターアニスには食欲を高める効果があるとされ、食欲増進剤としても広く使用されてきています。

●腎機能を高める効果
スターアニスに含まれる精油には、利尿作用があります。利尿作用とは、尿をよく出るようにすることで、体の余分な水分を排出する作用のことをいいます。
このことから、スターアニスの精油には膀胱炎などの膀胱各種の障害を好転させてくれる効果が期待されます。

●女性特有の悩みを改善する効果
スターアニスの精油には、エストロゲン[※5]の産生を促進する効果があるといわれています。【2】
このことから、月経緊張症、月経痛に効果的で、月経を順調にするなど女性に多い悩みに対する効果が期待されます。

●ストレスを緩和する効果
スターアニスに含まれる精油成分であるピネンには、神経の興奮を抑えるとされています。
このことから、スターアニスに含まれる精油には、ストレスを緩和する効果があると期待されています。

[※3:鼓脹とは、腸内にガスが大量に溜まって、腸が膨れ上がった状態のことをいいます。]
[※4:ぜん動運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するために、内容物を移動させる腸の運動です。]
[※5:エストロゲンとは、女性ホルモンの一種で、卵胞や黄体から分泌される女性らしい体つきを促進するホルモンのことです。]

スターアニスはこんな方におすすめ

○胃の健康を保ちたい方
○腸内環境を整えたい方
○食欲不振の方
○女性特有の病気(更年期、生理不順など)が気になる方
○心を落ち着かせたい方

スターアニスの研究情報

【1】胃腸の病には細菌が関わっていることが知られています。今回、スターアニスを含む様々な精油を利用し、12種類のバクテリアに対する抗菌効果を調べた結果その効果が確認できました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20030464

【2】フェンネル、アニスなどはエストロゲン様の素材として利用されてきました。今回筆者らはこれらに加え、スターアニスに含まれるアネトールポリマーにも同様の効果があることを示しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6999244

参考文献

・ワンダ・セラー 著 アロマテラピーのための84の精油 フレグランスジャーナル社

・武政 三男 著 80のスパイス辞典 フレグランスジャーナル社

・ハーブスパイス館 小学館

・五明紀春 食材健康大事典 時事通信社

・蔵敏則 発行 食材図典 小学館

・米田 該典 監修 漢方のくすりの辞典 医歯薬出版株式会社

・Hawrelak JA, Cattley T, Myers SP. (2009) “Essential oils in the treatment of intestinal dysbiosis: A preliminary in vitro study.” Altern Med Rev. 2009 Dec;14(4):380-4.

・Albert-Puleo M. (1980) “Fennel and anise as estrogenic agents.” J Ethnopharmacol. 1980 Dec;2(4):337-44.

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