本文へ


わかさの秘密トップ > 成分情報 > ビタミンA

作成日 2011年09月28日
更新日 2015年11月17日

ビタミンA

レチノール レチナール レチノイン酸
Vitamin A, retinol, retinal, retinoic acid

ビタミンAは、脂溶性のビタミンの一種で、一般にレバーなど動物性食品に含まれるレチノールを指しています。体内でビタミンAに変わるカロテノイドはプロビタミンAと呼ばれています。目の健康維持や皮膚・粘膜の免疫力の向上・抗酸化作用などが期待できます。[※1]

ビタミンAの健康効果
◎視機能を改善する効果
◎粘膜や皮膚を健康に保つ効果
◎動脈硬化を予防する効果
◎ガンを予防および抑制する効果

目次

ビタミンAとは

●基本情報
ビタミンAとは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつで、目の健康維持や、皮膚を正常に保つ働きがあります。多く摂りすぎると肝臓に蓄積し、不調を起こす原因になります。
カロテノイドは天然色素の一種で、このうち炭素と水素のみでできているものをカロテンといいます。
カロテンは体内に入ると、ビタミンAと同じ働きをする物質に変換されます。このようなビタミンAの前駆物質 [※2]をプロビタミンAといい、カロテンにはβ-カロテン、α-カロテン、クリプトキサンチンなど約50種類ほどのプロビタミンAが知られています。野菜に含まれるカロテンのほとんどがβ-カロテンです。
カロテンは吸収されにくい成分で、β-カロテンの吸収率は食品の種類や調理法、食べる人の健康状態によって大きく異なります。油に溶けると吸収率が良くなるため、緑黄色野菜を油で炒めたり、生の場合はドレッシングをかけるなどして油脂と一緒に摂ると、効率良く摂ることができます。
ビタミンAの吸収率は70~90%と高く、どのような調理法でもしっかり吸収されます。

ビタミンAは脂溶性のため、食材を水洗いしてもビタミンAが失われる心配はありませんが、熱にはやや弱く、酸化、乾燥、高温で壊れやすい性質を持っています。

●ビタミンAの歴史
ビタミンAは、ある研究の過程で発見されました。
1913年、アメリカのイェール大学のオズボーンとメンデルが、成分の配合を変えた様々なエサをラットに与え、体にどのような影響か出るかを実験していたところ、その中のあるエサの場合には体重が減少し、目に感染症が起きることを発見しました。
その後、マッカラムとオズボーンは、卵黄やバターの中にラットの成長を促進する栄養因子があることを発見し、これを脂溶性Aと呼びました。
1922年には、イギリスの科学者ドラモンドが脂溶性AをビタミンAと命名しました。しかし、この時のビタミンAは複数の物質から成り立っていました。後にくる病 [※3]を防ぐ因子を除いたものがビタミンAであると定義づけられました。

●ビタミンAの欠乏症
ビタミンAは健康な人の場合、肝臓で十分に貯蔵されているため不足する危険はほとんどありません。
しかし、アルコールを大量に摂取すると、貯蔵されているビタミンAが消耗されてしまいます。また、ビタミンAは体内でも脂質に溶けているため、脂肪便症 [※4]や脂質の吸収不良、たんぱく質欠乏、エネルギー欠乏などによりビタミンA欠乏症が起こる場合があります。

ビタミンA欠乏症の代表的な症状は、目が見えにくくなることです。目の角膜や粘膜がダメージを受けたり、光を過剰にまぶしく感じるなどの目の不調、暗闇や夜間にものが見えにくくなる夜盲症などが起こります。夜盲症は、夜に鳥の視力が低下するといわれることから、鳥目と呼ばれることもあります。症状が悪化すると、視力が落ち失明する場合があります。
また、皮膚や爪、粘膜が乾燥して弱くなるため、免疫力が下がりウイルスや細菌に感染しやすくなります。
乳児や幼児で不足すると、目が異常に乾燥する角膜乾燥症が起こります。
成長期にビタミンAが不足すると、骨や神経が十分に発達できないなどの成長障害が起こります。
妊娠中の場合には、胎児の奇形が起こることもあります。【5】

●ビタミンAの過剰症
ビタミンAは脂溶性のため、摂りすぎると体内に蓄積されます。中でも動物性食品に含まれるレチノールは、過剰に摂取した場合肝臓に蓄積され、頭痛、吐き気、発疹、脱毛、筋肉痛、疲労感、皮膚の角質化、肝臓肥大など、多くの不調を引き起こします。悪化すると骨障害、脂肪肝 [※5]、脳圧亢進症 [※6]などにもつながります。
妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると、胎児に奇形の発生率が高くなることがある、ということもわかっています。

植物性食品に含まれるカロテンは、体内で必要な量だけビタミンAとなるので過剰症の心配はなく、多量に摂っても一時的に肌が黄色っぽくなる程度です。
ビタミンAに変換されず残ったカロテンは、体内で抗酸化物質として働きます。
このため、ビタミンAの基準を考える時には、「レチノール当量」という、レチノール・β-カロテンのビタミンAとしての効力を、レチノールの量に換算した数値を使います。
摂取の基準値は表の通りです。耐容上限量 [※7]は、プロビタミンAであるカロテノイドを含まないレチノールの量で示されています。


[※1:ビタミンAの定義は「公益社団法人ビタミン・バイオファクター協会」を参照。]
[※2:前駆物質とは、ある物質ができる前の段階の物質のことです。]
[※3:くる病とは、乳幼児の骨格異常のことです。背骨や四肢の骨が曲がったり、変形が起こります。]
[※4:脂肪便症とは、脂質の消化吸収が不完全なために便に過剰な脂質が出る症状のことです。]
[※5:脂肪肝とは、食べ過ぎや飲みすぎによって肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった肝臓の肥満症ともいえる状態です。肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった脂肪肝は、動脈硬化をはじめとする様々な生活習慣病を引き起こす恐れがあります。]
[※6:脳圧亢進症とは、頭蓋骨と脳の間にある液体の流れが悪くなり、頭蓋骨の中で溜まって脳を圧迫する症状のことです。]
[※7:耐容上限量とは、日常的に摂取し続けた場合に健康障害のリスクがないと考えられる上限の量です。]

このページのトップへ

ビタミンAの効果



●視機能を改善する効果
ビタミンAは、夜間の視力の維持に効果がある栄養素です。人間が薄暗い場所でも目が慣れて見えるようになるのは、目の網膜 [※8]に光の明暗を感じる「ロドプシン」という物質があるからです。ロドプシンは暗いところでもかすかな光に反応し分解され、その刺激が脳に伝わることでものが見えます。壊れたロドプシンはその後再合成されますが、ロドプシンの主成分はビタミンAであるため、再合成にはビタミンAが必要になります。
色を見る力にもビタミンAが関わっており、目の網膜に光の受容体が多く存在し、昼間はカラーで、暗いところではわずかな光でも見分けることができる仕組みになっています。
このように、ビタミンAは目の働きに大きく関わっています。【4】

●粘膜や皮膚を健康に保つ効果
ビタミンAは、皮膚や粘膜を構成する上皮細胞をつくることに関わり、その機能維持に欠かせない成分で、免疫作用など全身の健康維持を支えています。特に皮膚、目の角膜や粘膜、口、鼻、のど、胃腸、肺、気管支、膀胱、子宮などを覆う粘膜を健康に保つ働きがあります。
皮膚の粘膜は病原菌などの侵入を防ぐバリアの役割をしていて、正しく機能することでウイルスなどの外敵から体を守り、感染症を予防して、体全体の免疫力を高めることに役立ちます。
しかしビタミンAが不足すると、粘膜が乾燥して硬くなり、傷つきやすくなります。目は潤いを失い、肌がかさつき、消化器官の粘膜が傷つくと下痢になることもあります。また、呼吸器に細菌やウイルスが侵入しやすくなることで風邪をひきやすくなります。

●動脈硬化を予防する効果
β-カロテンはビタミンAの前駆物質としてだけでなく、活性酸素 [※9]を除去する抗酸化作用を持ち、悪玉 (LDL)コレステロールを減らす効果がある成分として重要視されるようになりました。
呼吸で体内に取り入れる酸素のうち、2%ほどが活性酸素になります。活性酸素は増えすぎると体の酸化 [※9] を進めて細胞を弱らせ、老化を早めて動脈硬化やガンを引き起こす原因になります。
人間の体には、活性酸素と戦う酸化防止システムが何重にもありますが、この酸化防止システムも年齢を重ねると働きが弱まってしまいます。そこで期待されているのが活性酸素を除去する抗酸化物質です。
動脈硬化の大きな原因のひとつに、悪玉 (LDL)コレステロールの過剰があります。
LDLは肝臓から体の隅々にまでコレステロールを運ぶ役割をしています。しかし、LDLは活性酸素によって酸化され、過酸化脂質 [※11]になります。その量が多いと、余った過酸化脂質が血管の内側の壁に沈着して血管が硬くなり、動脈硬化につながります。動脈硬化は狭心症や心筋梗塞などの原因となります。
ビタミンAは、抗酸化物質を含むビタミンであるビタミンC、ビタミンEと一緒に摂ることで体の酸化を防ぐパワーが増し、悪玉 (LDL)コレステロールの酸化防止に強く働きかけて、若さと健康を保つことに役立ちます。

●ガンを予防および抑制する効果
体内で過剰な活性酸素が発生すると、細胞の遺伝子を傷つけてガンを引き起こします。
最近のガン研究では、ビタミンAを多く摂っている人ほどガンの発生率が低いということが報告されています。また、β-カロテンの多い食事をしている人には、肺ガン、胃ガンなどの発生率が低いこともわかっています。
これらのことからビタミンAの不足が発ガンリスクを高め、十分にビタミンAを摂ると発ガンを抑制することが明らかになりました。
これらはビタミンAが不足すると、皮膚や臓器を覆っている上皮組織の細胞が硬くなり、ガンを抑制する通常のメカニズムが働かなくなるためと考えられています。【1】【3】

[※8:網膜とは、眼球の内側を覆う膜のことで、目で見たものの色や光を判別する働きを持つ部分です。]
[※9:活性酸素とは、普通の酸素に比べ、著しく反応性が増すことで強い酸化力を持った酸素です。体内で過剰に発生すると、脂質やたんぱく質、DNAなどに影響し、老化などの原因になるとされます。]
[※10:酸化とは、物質が酸素と化合し、電子を失うことをいいます。サビつきともいわれています。]
[※11:過酸化脂質とは、コレステロールや中性脂肪などの脂質が活性酸素によって酸化されたものの総称です。]

このページのトップへ

ビタミンAは食事やサプリメントで摂取できます


ビタミンAはこんな食品に含まれています

○肉類:鶏レバー、豚レバー
○魚介類:あんこうの肝、ウナギのかば焼き、銀だら
○野菜類:モロヘイヤ、にんじん、しそ、かぼちゃ
○その他:焼のりなど

こんな方におすすめ

○目の健康を維持したい方
○夜盲症の方
○風邪をひきやすい方
○動脈硬化を予防したい方
○がんを予防したい方

ビタミンAの研究情報

【1】アメリカ人6万9635名を対象に、ビタミンAおよびカロチノイドの摂取と腫瘍のリスク軽減に関連があるかどうかを調べました。ビタミンAの高用量摂取者(1200μg以上)は、ビタミンAを摂取していない人と比較して腫瘍のリスクが軽減したことから、ビタミンAが腫瘍のリスク軽減に役立つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22377763

【2】ブロイラーに、ビタミンAを高容量(65512IU/kg)で35日間摂取させたところ、脛骨軟骨形成(TD)が進み、皮膚色素沈着が減少したことから、ビタミンAが軟骨形成と皮膚色素沈着予防に重要な役割を果たすと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18164357

【3】腫瘍移植マウスに、ビタミンA群(15000IUビタミンA・6.4mgβカロテン)を60日間摂取させたところ、マウスの生存率が上昇し、腫瘍のサイズも小さくなりました。ビタミンAが抗腫瘍作用を持つことが示唆されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12832888

もっと見る

このページのトップへ

参考文献

・中村丁次 最新版 からだに効く栄養成分バイブル 主婦と生活社

・上西一弘 栄養素の通になる 第2版 女子栄養大学出版部

・則岡孝子 栄養成分の事典  新星出版社

もっと見る

このページのトップへ