グルコマンナン

glucomannan

グルコマンナンは、こんにゃくの主成分である食物繊維の一種です。胃の中で水を吸って膨れる性質があるため食欲を抑える働きや、糖やコレステロールの吸収を抑える働きがあるため、主にダイエット食品に利用されています。

グルコマンナンとは

●基本情報
グルコマンナンは、こんにゃくに含まれる水溶性の食物繊維で、グルコースとマンノースがおよそ2:3の割合で結合したものです。
グルコマンナンは水に触れると大きく膨張するため、摂取することによって胃の中で膨らみ、満腹感を与えるほか便通を改善する効果があるとして、ダイエット食品の原料などに利用されています。
また、近年ではグルコマンナンにコレステロールや血糖値を下げる効果があることが明らかにされており、生活習慣病の予防効果が期待されています。

●グルコマンナンの歴史
コンニャクは古くから「腹中の砂おろし」などといわれており、様々な健康効果が言い伝えられていました。
1895年、辻暢太郎によってコンニャクについての研究論文が発表され、コンニャクの主成分がマンナンであることが明らかとなりました。その後、この成分がグルコースとマンノースが結びついた多糖類であることが分かり、1922年に「グルコマンナン」と名づけられました。

●グルコマンナンを摂取する際の注意点
グルコマンナンは消化器の中で水を吸って膨張する性質があるため、大量に摂取すると下痢を引き起こすことがあります。
また、グルコマンナンは空腹時や食後の血糖値を低下させる効果があります。血糖値を調整する医薬品やサプリメントを飲んでいる場合にはその働きを増強させる可能性があるため、注意が必要です。

●グルコマンナンの働き
グルコマンナンは水に触れると粘り気のあるゲルをつくり、大きく膨張するという性質があります。そのため、グルコマンナンを摂取すると、食品に含まれる水分を吸って胃の中で何十倍にも膨張するという働きがあります。
また、グルコマンナンは胆汁酸[※]を運び去ることでコレステロール濃度を下げる働きも併せ持っています。

[※1:胆汁酸とは、胆汁に含まれている物質です。消化管内で食物の脂肪や脂溶性ビタミンをより吸収しやすくする働きをします。]
[※2:血糖値とは、血液中にブドウ糖がどれくらいあるのかを示すものです。ブドウ糖が血液中にあふれてしまうと血糖値が高くなります。]

グルコマンナンの効果

●ダイエット効果
肥満者がグルコマンナンを8週間摂取する試験を行ったところ、体重の減少が認められたという結果が報告されています。
また、BMI値[※]が25以上かつコレステロール値が高めの男女がグルコマンナンの顆粒を4週間摂取したところ、膨腹感があったという結果が得られました。
このようなグルコマンナンのダイエット効果は、グルコマンナンを食事前に摂取することで、胃の中で膨張し、食欲が減退することによるものと考えられます。【1】【3】

●便秘を解消する効果
不規則な生活が続くと排便の習慣が定着しにくくなるほか、野菜不足などによる食物繊維の摂取量の減少が原因で便秘が引き起こされやすくなります。
また、便秘は無理なダイエットが原因で引き起こされることがあります。食事量が少なくなると、便をつくる量が不足してしまうためです。
便秘になると、お腹の張りや痛みを感じるほか、肌トラブルが発生するなど美容面にも影響を及ぼします。また、便秘は大腸ガンとも深い関係があります。
グルコマンナンは腸内細菌で分解されるとオリゴ糖ができ、オリゴ糖がビフィズス菌のエサになって腸内環境を整えます。また、便を柔らかくして便通を促す働きがあるため、便秘を解消する効果があるといわれています。【2】

●コレステロール値を下げる効果
グルコマンナンには胆汁酸を運ぶ働きがあり、コレステロール値を下げる効果があります。
コレステロールは脂質の一種であり、細胞をつくる上で重要となる成分です。しかし、動物性脂肪を多く含む食品を摂り過ぎることによって、血液中のコレステロール増加につながります。
グルコマンナンが持つコレステロール値を下げる効果により、コレステロールの増加によって引き起こされる動脈硬化や脂質異常症をはじめとする生活習慣病を予防することができます。【1】【3】

●糖尿病を予防する効果
グルコマンナンは糖の吸収を抑える働きがあるため、糖尿病を予防する効果があります。
肥満や運動不足などの生活習慣が原因で血糖値が正常に保てなくなる状態が糖尿病であり、悪化すると全身の血管や神経などに悪影響を及ぼし、様々な合併症や動脈硬化が引き起こされます。
食事から摂取した糖質が体内に吸収されると、血糖値が急激に上昇しないように、インスリンという血糖値を正常に保つホルモンが分泌されます。しかし、糖尿病になるとインスリンの分泌低下および反応性の低下が起きるため、血液中のブドウ糖が正しく処理されず、食後に血糖値が急激に上昇することがあります。
グルコマンナンには血糖値の上昇を抑える効果があり、糖尿病の予防にも役立つといわれています。
また、グルコマンナンの粘り気が強いほど、コレステロールや血糖値の上昇を抑える効果が強くなるといわれています。【1】

[※3:BMI値とは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出される、肥満度を示す国際的な指標のことです。]

食事やサプリメントで摂取できます

グルコマンナンを含む食品

○こんにゃく

こんな方におすすめ

○肥満を防ぎたい方
○便秘でお悩みの方
○コレステロール値が気になる方
○糖尿病を予防したい方

グルコマンナンの研究情報

【1】グルコマンナンの摂取と、血中脂質、体重、空腹時血糖値および血圧との関係を調査した研究14例(計531名)において、グルコマンナンの摂取により、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、体重、空腹時血糖値の改善が見られたことから、グルコマンナンは生活習慣病予防効果が期待されています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18842808

【2】便秘に悩む31名を対象に、グルコマンナンを体重あたり100mg/kg の量で4週間摂取させたところ、便秘による腹痛の改善が見られたことから、グルコマンナンは便秘における諸症状抑制効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14993586

【3】肥満者患者20名を対象に、グルコマンナンを1日3g の量で8週間食前に摂取させたところ、体重減少と血中コレステロールならびにLDLコレステロールが低下したことから、グルコマンナンは体重減少効果ならびに動脈硬化予防効果が期待されています。
http://www.ganyoboushop.com/item/gru/images/gru2.pdf

【4】ラットを対象に、グルコマンナンを含む食物繊維5% 配合した餌を3週間摂取させたところ、グルコマンナンを投与すると、腸間膜リンパ節における抗体産生が亢進した。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12729015

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参考文献

・コンニャクグルコマンナンの免疫調節作用と機能性食品への応用に関する研究/大西 伸和
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00027277

・グルコマンナンの肥満者に対する臨床効果
http://www.ganyoboushop.com/item/gru/images/gru2.pdf

・Sood N, Baker WL, Coleman CI. 2008 “Effect of glucomannan on plasma lipid and glucose concentrations, body weight, and blood pressure: systematic review and meta-analysis.” Am J Clin Nutr. 2008 Oct;88(4):1167-75.

・Loening-Baucke V, Miele E, Staiano A. 2004 “Fiber (glucomannan) is beneficial in the treatment of childhood constipation.” Pediatrics. 2004 Mar;113(3 Pt 1):e259-64.

・D.E.Walsh, V.Yaghoubian, A.Behforooz. 1983 “Effect of Glucomannan on obese Patient: A clinical study” International Journal of Obesity 1983, 8, 289-293

・Yamada K, Tokunaga Y, Ikeda A, Ohkura K, Kaku-Ohkura S, Mamiya S, Lim BO, Tachibana H. 2003 “Effect of dietary fiber on the lipid metabolism and immune function of aged Sprague-Dawley rats.” Biosci Biotechnol Biochem. 2003 Feb;67(2):429-33.

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