センナ

senna

センナは、アフリカ原産のハーブの一種です。医薬品として扱われるほど強力な成分を含んでおり、その成分は胃や腸で消化されることなく大腸に直接届き、腸を刺激し排便を促してくれます。便秘でお困りの方におすすめのハーブですが、短期間での使用が推奨されています。

センナとは

●基本情報
センナとは、アフリカ原産の植物でマメ科カワラケツメイ属に属します。高さは2メートルに満たない常緑低木で、葉は5~7対の小さな葉をしており、直径2.5cmほどの黄色い花を咲かせます。薬用成分のセンノシドを多く含み、便秘解消に有効といわれています。センノシドの働きはとても強力であるため、特に葉や実は、日本では医薬品扱いとなっており、サプリメントや食品への配合は禁止されています。センナの茎の部分を使った「センナ茶」は、日本でも販売されています。特に頑固な便秘には、センナのさやが効果的といわれています。カップに5個から10個のさやを細かくちぎり、熱湯とひとつまみのしょうが粉末を加えて一晩おきます。翌日、朝一番に飲むと腸が刺激され、便秘解消の効果が期待できます。しかしセンナには高い便秘解消効果がありますが、一方で副作用も見られます。腹痛や嘔吐を起こす可能性もありますので、適切な使用が大切です。

●センナの歴史
古代エジプト時代から、アラビアの医師によってセンナの葉は下剤として利用されてきました。現在も、欧米ではお茶や粉末剤、シロップ剤などの形で幅広く使われています。日本では、効果が強いため医薬品としての扱いです。葉は番瀉葉(ばんしゃよう)という生薬として、漢方薬としても多く用いられています。果実と葉は医薬品となり、茎を食品として使用します。

●センナの生産地
センナはセンノシドやアロエエモジン、ケンフェロールなどのフラボノイドを含んでいます。
センナの原産地はアフリカです。その後、インド南端のチンネベリー地方でも栽培され、チンネベリー地方にちなみ「チンネベリセンナ」という名前でも知られています。高温、乾燥、強い日射を好むので、日本の気候での栽培は不向きです。温室栽培などを利用すれば、育てることもできるようですが、一般的には日本にはチンネベリセンナ、欧米にはアレキサンドリアセンナという種類のセンナが多く輸入されています。

●センナの働き
センナに含まれるセンノシドは、葉に含まれるジアンスロン配糖体[※1]です。胃や小腸では消化されず、そのまま大腸に到達します。センノシドの働きによって、腸内への水分の流入を高めるため、便を軟らかくします。また、センノシドは大腸で腸内細菌によってレインアンスロンという物質に変わり、腸を刺激して排便を促します。そのため、便秘の解消に効果が期待できます。しかし、センナの長期にわたる使用は、センナの刺激によるぜんどう運動[※2]に腸が慣れ、自然のぜんどう運動が起こりにくくなってしまう可能性があるため、控えた方がいいといわれています。また、便が軟らかくなりすぎると、便とともにミネラル分も体の外に出て行ってしまい、ミネラルバランスが崩れてしまう恐れがあるため、センナの常用も避ける必要があります。センナが腸を刺激する際、筋肉の収縮も起こるため、妊娠中の使用は禁止されています。
自然な排泄リズムを整えるためには、便意を催したらそのリズムに従うことが大切です。食事内容の違いなどによって個人差はありますが、少なくとも1日に1回きちんと排泄できていれば、排泄が困難であるがゆえの便の硬化を防ぐことができます。十分な水分を摂り便に水分を与えることも大切で、1日あたりおよそ2.5ℓの水分を摂ることが望ましいといわれています。

[※1:ジアンスロン配糖体とは、センナの葉を乾燥させる際に、アンスロン配糖体から生成される成分のことです。他にもレイン、アロエエシドおよびこれらの配糖体や、ケンフェロールなどのフラボノイドを含みます。]
[※2:ぜんどう運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するために、内容物を移動させる腸の運動です。]

センナの効果

●便秘を解消する効果
センナにはセンノシドという成分が含まれています。センノシドは胃や小腸で消化されず、そのまま大腸に届きます。センノシドには、腸内の水分量を増やす働きがあるため、便を軟らかくし、排泄されやすくします。さらに大腸に到達したセンノシドは腸を刺激する物質へと変化し、腸のぜんどう運動を活発にして排泄を促します。センナを服用することで、便秘の解消が期待できます。【1】【2】【3】

センナはこんな方におすすめ

こんな方におすすめ

○便秘でお悩みの方

センナの研究情報

【1】センナは軟便を防ぎ、便通を促します。センナは便秘改善用の医薬品として使用されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2835784

【2】ラットを対象に、センナの機能性成分センノシドを12.5-200mg/kg の量で摂取させると、5-7時間で糞便が最大量に達しました。大腸は濃度と時間依存的にセンノシドにより刺激を受けることから、センナは便秘改善に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2876077

【3】24名の健常人を対象に、センナの機能性成分センノシド20mg またはイスパグラ30g(サイリィウム種子20g+食物繊維配合)、アジオラックス10g(サイリィウム種子5.4g+センナ1.2g:センノシド30mg 配合)を飲用した結果、3種類とも腸内通過時間が早まったことから、センナは便秘改善効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8234436

参考文献

・育てる 味わう 楽しむハーブ・スパイス館 小学館

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・林真一郎 メディカルハーブの事典 東京堂出版

・女性のためのハーブ自然療法 女性の一生涯をハーバルライフで綴ったバイブル 産調出版

・独立行政法人国立栄養研究所 “「健康食品」の安全性・有効性情報 「健康食品」の素材情報データベース”

・Godding EW. (1988) “Laxatives and the special role of senna.” Pharmacology. 1988;36 Suppl 1:230-6.

・Leng-Peschlow E. (1986) “Dual effect of orally administered sennosides on large intestine transit and fluid absorption in the rat.” J Pharm Pharmacol. 1986 Aug;38(8):606-10.

・Ewe K, Ueberschaer B, Press AG. (1993) “Influence of senna, fibre, and fibre + senna on colonic transit in loperamide-induced constipation” Pharmacology. 1993 Oct;47 Suppl 1:242-8.

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