テアフラビン

theaflavin

テアフラビンとは、ポリフェノールの一種でカテキンが発酵してできる赤い色素です。紅茶などに含まれており、強い抗酸化力を持ち、殺菌や風邪の予防に対して効果・効能があります。また、インフルエンザを予防する効果も期待されています。

テアフラビンとは?

●基本情報
テアフラビンとは、紅茶に含まれる赤い色素のことで、抗酸化力を持ちます。ポリフェノールの中でもタンニン類に分類されており、カテキンが酸化され2つ結びついた形をしています。赤色色素のテアルビジン[※1]とともに紅茶色素を形成しています。紅茶の葉は、緑茶のもとになる葉を発酵させたもので、この発酵の間に、葉自身が持っている酵素の働きで、カテキンからテアフラビンができます。

●テアフラビンの働き
テアフラビンは強力な抗菌作用があります。カテキンと同じように抗酸化力が強く、動脈硬化など生活習慣病の予防やシミなど老化の抑制に効果・効能があるとされています。また抗菌・抗ウイルス作用も確認されています。紅茶では、フリーのテアフラビンと2種のテアフラビンモノガレート、テアフラビンジガレートの4種が存在します。紅茶フラボノイド[※2]に抗菌作用が期待されるのは、このテアフラビンが関係していると考えられ、注目されています。また、テアフラビンには、アミラーゼ抑制効果があることがわかっています。
テアフラビンは、強い抗酸化力を持っており、悪玉(LDL)コレステロール[※3]の酸化を強力に抑え、善玉(HDL)コレステロール[※4]には影響なく、悪玉(LDL)コレステロールの低下や中性脂肪の減少にも効果があるとされています。

[※1:テアルビジンとは、茶の葉が発酵する際に酵素的酸化によって形成されるポリフェノールの重合体です。]
[※2:紅茶フラボノイドとは、ワインなどに含まれるポリフェノールの一種です。]
[※3:悪玉(LDL)コレステロールとは、肝臓から血管にコレステロールを運ぶ機能を持った物質です。悪玉(LDL)コレステロール値が高くなると、動脈硬化の原因になるといわれています。]
[※4:善玉(HDL)コレステロールとは、血管壁に溜まった余分なコレステロールを抜き取って、肝臓に運ぶ機能がある物質です。動脈硬化などを防ぐ役割があります。]

テアフラビンの効果

●血糖値の上昇を抑える効果
テアフラビンには、血糖値の上昇を抑制する効果があります。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の量を表す数値です。不規則な生活習慣が原因で、血糖値が正常に保たれなくなると、糖尿病が引き起こされます。
糖尿病とは生活習慣病のひとつであり、エネルギーとして使われるはずの糖がうまく細胞に取り入れられず血液中に残ってしまい、血糖値が高くなる病気のことです。
糖尿病が悪化すると、全身の血管や神経などに悪影響を及ぼし、合併症や動脈硬化を引き起こしてしまいます。
テアフラビンには、糖分吸収をすすめるアミラーゼの、働きを抑える効果があり、糖分吸収を抑制することがわかっています。

●インフルエンザを予防する効果
テアフラビンにはインフルエンザを予防する効果があります。
インフルエンザはウイルスを原因とする感染症です。インフルエンザに関してはウイルスの種類に関係なく、紅茶テアフラビン、緑茶カテキンがウイルス粒子を凝集させ、感染力を失わせます。【3】
紅茶に含まれるテアフラビンが、インフルエンザウイルスのもつスパイク状のたんぱく質を覆うことによって、インフルエンザが人間の細胞に侵入していくことができなくなる効果が認められました。
紅茶でうがいした人は、しなかった人よりインフルエンザにかかりにくいという研究結果が得られています。紅茶の濃度は普段飲む濃度の4~5倍の薄さでも十分な効果があり、温度は体温と同じくらいがよいとされています。

●殺菌・消毒効果
テアフラビンは殺菌効果を持ちます。
ボツリヌス菌[※5]に対する殺菌効果は紅茶が緑茶より強いことは判明しています。緑茶カテキンや紅茶テアフラビンはコレラ菌[※6]など一般的な食中毒細菌に対しても殺菌効果があることが知られています。一方、茶ポリフェノールは乳酸菌やビフィズス菌などには影響を及ぼさず、腸内細菌の比率は善玉菌が増えて悪玉菌が減り、便秘と下痢の双方に効能を示し、便の臭気が薄くなることも確かめられています。また胃炎ひいては胃ガンの原因菌といわれ出したピロリ菌に対する殺菌性も認められたことから、テアフラビンを含む紅茶をのむことで、様々な菌から体を守ることができるといえます。【1】
水虫の原因である白癬菌にも有効です。

●コレステロール値を下げる効果
テアフラビンには、悪玉(LDL)コレステロールの酸化を強力に抑え、善玉(HDL)コレステロールには影響なく、悪玉(LDL)コレステロールだけを低下させることができます。

[※5:ボツリヌス菌とは、細菌のひとつで、食中毒を引き起こします。]
[※6:コレラ菌とは、飲料水や食品を介して、口から体の中に入ることで感染する病原菌です。潜伏時間は数時間から5日で、下痢を起こして発病し、続いておう吐が引き起こされます。]

食事やサプリメントで摂取できます

テアフラビンを多く含む食品

○紅茶
ウーロン茶

こんな方におすすめ

○肥満を予防したい方
○風邪を予防したい方
○コレステロール値が高い方

テアフラビンの研究情報

【1】近年、抗真菌薬に対する要求は高くなってきています。今回、テアフラビンとカテキンを組み合わせることでもカンジダ・アルビカンス菌に対する抗菌力が高まりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23711519

【2】近年テアフラビンの誘導体が抗HIV活性を持つことがわかりました。このテアフラビン誘導体を軟膏にまぜその効果についての確認がなされています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22867271

【3】紅茶に入っているテアフラビンとテアフラビン誘導体3種類には抗インフルエンザ活性があることが知られています。このテアフラビン類について詳細に調査したところ、テアフラビン誘導体に抗インフルエンザ活性と抗炎症活性がみられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22521753

参考文献

・日本食品大辞典 医歯薬出版株式会社

・日経ヘルス サプリメント事典 第4版

・中嶋洋子 教授 監修 栄養の教科書

・木多京子 根本幸夫 伊田喜光 田口進 食の医学館

・Betts JW, Wareham DW, Kelly SM, Haswell SJ. (2013) Antifungal synergy of theaflavin and epicatechin combinations against Candida albicans.” J Microbiol Biotechnol. 2013 May 27.

・Yang J, Li L, Jin H, Tan S, Qiu J, Yang L, Ding Y, Jiang ZH, Jiang S, Liu S. (2010) “Vaginal gel formulation based on theaflavin derivatives as a microbicide to prevent HIV sexual transmission.” AIDS Res Hum Retroviruses. 2012 Nov;28(11):1498-508.

・Zu M, Yang F, Zhou W, Liu A, Du G, Zheng L. (2007) “In vitro anti-influenza virus and anti-inflammatory activities of theaflavin derivatives.” Antiviral Res. 2012 Jun;94(3):217-24.

・田中隆 (2008)“植物ポリフェノールに関する化学的研究とその紅茶色素生成機構解明への展開” YAKUGAKU ZASSHI Vol. 128 (2008) No. 8 P 1119-1131

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