キチン・キトサン

Chitin and Chitosan

キチン・キトサンは、カニやエビなどの甲殻類に含まれる動物性の食物繊維です。
コレステロールや有害物質を吸着して、体の外に排出させる働きがあり、肥満の予防や、免疫力を高める効果があります。

キチン・キトサンの研究情報

【1】マウスでキトサンオリゴ糖(COS)がコレステロール逆輸送(RCT)に及ぼす作用を検討しました。(3)H ‐コレステロールを含んだマクロファージを注入されたマウスに対し、COS(250, 500, 1000 mg/kg)を摂取させました。血漿脂質濃度、および(3)H ‐コレステロールの取り込みを血漿、肝臓、胆汁および便で測定しました。また、COSが肝臓中の水酸化酵素(CYP7A1)およびスカベンジャー受容体BI(SR-BI)の発現に及ぼす作用を検討しました。その結果、COS投与群は、血漿総コレステロールおよびLDLコレステロールの減少が見られ、(3)H -コレステロールは肝、胆、糞便で増加していました。CYP7A1、SR-BIおよびLDL受容体(LDL-R)の肝臓での発現は、COS投与されたマウスでは改善されました。
このことから、LDLの血中濃度はCOS投与によって改善される可能性が考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22302708

【2】無作為化二重盲検臨床試験を糖尿病のない12名の肥満患者に対し行い、3ヶ月間、プラセボまたはキトサン(3回/日、750 mg)を摂取させました。血清グルコース、総コレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセリド(TG)およびインスリン感受性を測定しました。キトサン投与群では、インスリン感受性が増加し、また、体重、ウエスト周囲径、BMI、TGがプラセボと比較して有意に減少していました。このことから、キトサンの摂取は食後のインスリン感受性を増加させ、肥満予防につながると考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20650346

【3】水溶性キトサンが酸化ストレスの指標に及ぼす作用について検討しました。4週間のキトサン治療は血漿グルコース、アテローム誘発性指数の量の有意な減少を引き起こすHDLを増大させました。また、キトサンは酸化アルブミンを減少させ、血漿中の抗酸化活性を増加させました。このことから、キトサンは、血漿中の酸化ストレスをやわらげる働きがあることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18996432

【4】大腿骨の止血のためのキトサンパッドの有効性と安全性を確認しました。マニュアル圧迫による冠動脈造影の後の大腿動脈の止血は、時間を消費し患者には不快です。キトサンパッドは、通常のパッドと比較して有意に止血時間が短くなり、血腫の発生も低いことがわかりました。このことから、キトサンは、安全かつ止血時間を短くする可能性が考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21518684

【5】キトサンが高血圧自然発症ラットの最高血圧に及ぼす作用について、NaCl + KCl (NaCl, 49.36%+KCl 49.36%) 群、キトサン群、NaCl群で比較しました。NaCl+キトサン(44 mM Na/day)の投与により収縮期血圧が有意にNaCl+KCl群、NaCl群より低下しました。このことから、キトサンは高血圧に対してその最高血圧を下げる働きがある可能性が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19461209

【6】キトサンを基にしたポリミキシンB 9 mg/mlの吸着材を、腹膜炎患者に対して注入しました。血漿を生化学分析した結果、ポリミキシンB-含有吸着材が体への解毒をもたらしたと明らかとなりました(尿酸値4倍減少、ビリルビン、中性脂肪の正常化)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7824350

【7】高脂血症を有する女性患者に対し、56日間の服用期間でキトサン1.2 g/日の服用56日間 (41名) とプラセボ服用 (43名) を無作為化二重盲検試験にて比較したところ、総コレステロール値の低下を認めました。このことから、キトサンの摂取は、高脂血症に対して有効な治療法になる可能性が考えられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12771974

【8】2004年2月までを対象に5種のデータベースと6種のウェブサイトで検索できた無作為化プラセボ比較試験15報について検討したシステマティックレビューにおいて、過体重もしくは肥満の成人男女によるキトサン摂取 (0.24~15 g/日、4週間以上) は、体重減少、総コレステロール値の低下、血圧低下に寄与する可能性が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18646097

【9】健康成人男性8名 (20~23歳) を対象に、キトサン含有クッキー (キトサン摂取量は1日3~6 g) を7日間摂取させたところ、糞中のコール酸の増加、コプロスタノールカンペステロールの減少、血中の総コレステロールの低下、HDL-コレステロールの上昇が認められました。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002676529/

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参考文献

・中村丁次 からだに効く栄養成分バイブル/主婦と生活社

・則岡孝子 栄養成分の事典 新星出版社

・サプリメント健康バイブル/日本サプリメント協会(NPO)小学館

・原山達郎 最新・最強のサプリメント大辞典 昭文社

・梶本修身 体質・症状で選ぶ健康食品ガイドブック 日東書院

・平野茂博 キチン・キトサン開発技術 シーエムシー出版

・Zong C, Yu Y, Song G, Luo T, Li L, Wang X, Qin S. (2012) “Chitosan oligosaccharides promote reverse cholesterol transport and expression of scavenger receptor BI and CYP7A1 in mice.” Exp Biol Med (Maywood).2012 Feb 1;237(2):194-200.Epub 2012 Feb 2.

・Hernandez-Gonzalez SO, Gonzalez-Ortiz M, Martinez-Abundis E, Robles-Cervantes JA. (2010) “Chitosan improves insulin sensitivity as determined by the euglycemic-hyperinsulinemic clamp technique in obese subjects.” Nutr Res. 2010 Jun;30(6):392-5.

・Anraku M, Fujii T, Furutani N, Kadowaki D, Maruyama T, Otagiri M, Gebicki JM, Tomida H. (2009) “Antioxidant effects of a dietary supplement:reduction of indices of oxidative stress in normal subjects by water-soluble chitosan.” Food Chem Toxicol. 2009 Jan;47(1):104-9. Epub 2008 Oct 22.

・Arbel J, Rozenbaum E, Reges O, Neuman Y, Levi A, Erel J, Haskia AR, Caneti M, Sherf M, Mosseri M. (2011) “USage of chitosan for Femoral (USF) haemostasis after percutaneous procedures: a comparative open label study.” EuroIntervention. 2011 Apr;6(9):1104-9. doi: 10.4244/EIJV6I9A192.

・Park SH, Dutta NK, Baek MW, Kim DJ, Na YR, Seok SH, Lee BH, Cho JE, Cho GS, Park JH. (2009) “NaCl plus chitosan as a dietary salt to prevent the development of hypertension in spontaneously hypertensive rats.” J Vet Sci. 2009 Jun;10(2):141-6.

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