リボース

ribose

リボースはRNA(核酸)の材料として重要な単糖類の中の五炭糖のひとつで、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(核酸)を構成するヌクレオチドの構成成分です。また、体内のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)の構成物質でもあり、エネルギー生産活動を活発にします。

リボースとは

●基本情報
リボースは糖の一種で、五炭糖[※1]、単糖に分類されます。特有のカラメルのような香りがあり、すっきりとした清涼感のある甘みがあります。エネルギーを急激に使用する瞬発性の高い運動などをした際のエネルギーの再補給と疲労回復に効果的です。

●リボースの歴史
リボースは1905年、ポイボスレビーンに発見されました。そして1973年、ドイツで心臓貧血患者の回復にリボースが働くことが発見され、1978年、心筋と骨格筋においてATPの生合成促進作用があることがわかりました。このことは一般向けにエナジードリンクの販売のきっかけになりました。
また1980年、心機能の回復にリボースが寄与していることが明らかになり、アメリカで心臓手術の前後にリボースを与える治療が行われました。
国内では既存添加物[※2]、甘味料として認められており、サプリメントやスポーツ飲料、エナジードリンク、医薬用品にも使用されています。

●リボースの働き
リボースは、糖分、次に脂肪を分解して、エネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)を産生します。そして、疲労時や、運動時などにエネルギーが必要な時には、ATP(アデノシン三リン酸)が分解されることでエネルギーがつくられます。

[※1:五炭糖とは、炭素原子5個をもつ単糖類の総称です。]
[※2:既存添加物とは厚生労働省の食品安全委員会が科学検査に基づき安全性を認めている添加物のことです。]

リボースの効果

●疲労回復効果
エネルギーの源であるATPの生合成促進を行うことによってエネルギー生産活動を活発にし、疲労回復が期待できます。
また、リボースには慢性疲労症候群(CFS)[※3]の症状を改善する効果があるといわれています。慢性疲労症候群(CFS)の原因は、細胞エネルギーの代謝異常といわれています。そこで、エネルギー合成を促進するリボースが症状の改善に効果があるとされています。【1】【2】【3】

●運動能力を高める効果
ATPが分解されることでエネルギーが発生しますが、疲労時はたくさんのATPが分解されます。リボースは分解されたATPを再利用し、再びATPをつくり出します。これによって新たなエネルギーが生まれ、運動能力の向上、運動時の体力の維持が期待できます。【2】

●筋肉痛を予防する効果
筋肉痛が起きている時、筋肉には乳酸が溜まり、筋繊維[※4]が壊れている状態です。リボースは乳酸値の上昇を抑制するので、運動後の筋肉痛の予防が期待できます。【1】

[※3:慢性疲労症候群(CFS)とは、原因不明の強い全身倦怠感、微熱、リンパ節腫脹、頭痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつ等の精神神経症状などが起こり、この状態が長期にわたって続くため、社会生活が送れなくなるという病態です。]
[※4:筋繊維とは、筋肉を構成する繊維状の細胞です。]

リボースは食事やサプリメントで摂取できます

リボースをを含む食品

○スポーツ飲料
○エナジードリンク
○甘味料

こんな方におすすめ

○運動時の疲労を回復したい方
○慢性疲労症候群(CFS)の症状を緩和させたい方
○運動能力を向上したい方
○運動時の体力を維持したい方
○筋肉痛を緩和させたい方
○スポーツをする方

リボースの研究情報

【1】筋線維痛および慢性疲労症候群の患者41名を対象に、D-リボースを1日あたり15gの量で計280g 摂取させたところ、睡眠、痛みの強度、幸福感などに改善が見られたことから、D-リボースは筋肉痛および慢性疲労改善に役立つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17109576

【2】健常成人7名を対象に、D-リボースを7g 摂取させたところ、低酸素運動実施時の酸化ストレス(MDA)増加やグルタチオンの低下が緩和されたことから、D-リボースは運動能力維持および疲労改善に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19627222

【3】D-リボースは細胞のエネルギーとなるATP産生を促進することが知られており、特に心臓の心筋や筋肉では顕著です。D-リボースは疲労回復効果を持つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11150394

参考文献

・ブックBIO INDUSTRY 2011_2月号

・糖質の栄養 (鈴峯女子短期大学 山内有信)

・サプリニュース117

・厚生省慢性疲労症候群診断基準

・Teitelbaum JE, Johnson C, St Cyr J. (2006) “The use of D-ribose in chronic fatigue syndrome and fibromyalgia: a pilot study.” J Altern Complement Med. 2006 Nov;12(9):857-62.

・Seifert JG, Subudhi AW, Fu MX, Riska KL, John JC, Shecterle LM, St Cyr JA. (2009) “The role of ribose on oxidative stress during hypoxic exercise: a pilot study” J Med Food. 2009 Jun;12(3):690-3.

・Pauly DF, Pepine CJ. (2000) “D-Ribose as a supplement for cardiac energy metabolism..” J Cardiovasc Pharmacol Ther. 2000 Oct;5(4):249-58.

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