トンカットアリ

tongkat ali
eurycoma longifolia

トンカットアリは熱帯雨林に自生する植物で、古くから強壮剤として使用されてきたハーブです。特に男性の滋養強壮やホルモンバランスの調整などに活用されます。

トンカットアリとは

●基本情報
トンカットアリは、マレーシア、インドシナ半島、スマトラ島、ボルネオ島の熱帯雨林に中に自生するニガキ科の植物で、何年もかけてじっくり成長します。栽培することは非常に難しく、食品として利用されるトンカットアリは全て野生のものに限られます。直径15cmの幹になるのに約10年を要し、葉は長さ約5cm~20cm、幅1.5cm~6cmほどの小葉です。花は両性花で、小さな花弁は細かい柔毛におおわれています。果実は硬く、長さ約1,2cmほどの楕円形で、初めのうちは黄土色をしていますが熱を増すと茶色がかった赤色になります。トンカットアリは葉や幹、根に特有の苦みを持ち、この苦みが様々な効果をもたらします。主な成分はグリコサポニン、ユリペプチド、カシノイド、アルカロイド、ステロール、テルペノイドです。伝統的にトンカットアリは特に男性向けの強壮薬として利用されており、男性のバイタリティーと欲求の増進のために、その根を煎じて飲まれていました。他にも、マラリアの治療薬としての働きや男女のホルモンバランスの調説、血液のめぐりをよくして冷えやむくみを予防するといった効果があります。

●トンカットアリの歴史
マレー半島に伝統的にトンカットアリの根を煎じて飲んでいる民族があり、彼らをオランスアリと呼びます。オランスアリとは「人々の起源」もしくは「初めの人々」を意味しており、彼らは6500種以上の植物を病気の治療に利用しています。現在でも10人以上の家族は珍しくありません。昔はトンカットアリを引き抜くときには、その前に神に祈りを捧げるような風習があったそうです。

●トンカットアリの利用方法
トンカットアリはと強い苦みを持っているため、サプリメントして摂取されることが多いです。サプリメントには通常、根の部分が用いられます。非常に苦いため、ほとんどがカプセルになって、水かぬるま湯で摂取されます。しかし、マレーシア国内では、トンカットアリが配合されたコーヒーや栄養ドリンクなどが商品として販売されているようです。

●トンカットアリを摂取する際の注意点
トンカットアリには基本的に副作用がなく、天然物であるため農薬や科学肥料も使われていません。しかし、様々な栄養素が多量に含まれているので、体質的に合わないこともあります。過度な摂取は腹痛や下痢、おう吐や頭痛といった体調悪化の恐れもあるため、一度に大量に摂取することは避けた方が良いです。

トンカットアリの効果

●男性特有の悩みを改善する効果
トンカットアリは、男性ホルモンであるテストステロンの分泌を促します。テストステロンの分泌が増えると、肉体的、精神的な疲労を抑えたり、スタミナを アップさせたりといった効果が期待されます。また、男性機能を高め、性的興奮の増加、男性不妊を改善する働きもあります。【1】【2】

●ホルモンバランスを整える効果
男性も女性も、性ホルモンのバランスが乱れがちな更年期に、更年期障害が起こりやすくなります。男女ともにほてりやのぼせ、不安な気持ちや倦怠感などを感じがちです。トンカットアリは、特に男性のテストステロンの増加などバランスを整えてくれる植物として有名ですが、女性の性ホルモンの分泌を促し、更年期の症状をやわらげます。女性においても低テストステロンレベルは発生することがあり、トンカットアリは、男性だけでなく女性のホルモンバランスも整えます。【2】

●体調を整える効果
解熱、産後回復、炎症性の腫れ物、創傷、潰瘍、梅毒、歯肉出血の治療などに効果を発揮します。トンカットアリは血液の流れを良くする効果があり、冷え性の改善に有効です。また、血流が良くなることで細胞が活性化し、腎機能や肝機能の改善にも有効です。また、体内の水分の流れも良くなり、むくみの予防・解消にも効果的とされています。利尿作用もあり、体内の水分量が多くむくみを感じているときには、トンカットアリの利尿作用が効果を発揮します。さらに、その他に、抗ガン・抗HIVの特性も発見されています。【3】

トンカットアリはこんな方におすすめ

○活力を付けたい方
○健やかな毎日を送りたい方
○ホルモンバランスを整えたい方

トンカットアリの研究情報

【1】哺乳類を対象に、トンカットアリ、ハマシビ、リーザ抽出物を10週間摂取させたところ、性情動が上昇し、精液量、精子濃度、精子運動能力が有意に上昇していたことから、トンカットアリは男性性機能改善効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21092065

【2】ラットを対象に、トンカットアリを200㎎/㎏または800㎎/㎏飲用させた結果、テストステロンおよび筋重量の増加傾向が認められました。また、精子濃度、精子運動能が上昇したことから、トンカットアリは男性機能改善効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23464350

【3】トンカットアリは抗糖尿病、抗細菌、解熱薬として使用さて来ました。有効成分としてユーリコマオシド、ユーリコラクタン、ユーリコマラクタン、パサビキンBを含むことが知られています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20434529

参考文献

・Frydrychová S, Opletal L, Macáková K, Lustyková A, Rozkot M, Lipenský J. (2011) “Effects of herbal preparation on libido and semen quality in boars.” Reprod Domest Anim. 2011 Aug;46(4):573-8. doi: 10.1111/j.1439-0531.2010.01703.x. Epub 2010 Nov 23.

・Solomon MC, Erasmus N, Henkel RR. (2013) “In vivo effects of Eurycoma longifolia Jack (Tongkat Ali) extract on reproductive functions in the rat.” Andrologia. 2013 Mar 6. doi: 10.1111/and.12082. [Epub ahead of print]

・Bhat R, Karim AA. (2010) “Tongkat Ali (Eurycoma longifolia Jack): a review on its ethnobotany and pharmacological importance.” Fitoterapia. 2010 Oct;81(7):669-79.

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