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作成日 2011年08月24日
更新日 2014年05月05日

γ(ガンマ)リノレン酸

gamma linolenic acid

γリノレン酸とは、カシス種子油や月見草油に含まれる必須脂肪酸のひとつです。血圧やLDLコレステロール値、血糖値を低下させる効果に加えて、正常で健康な皮膚の構造と機能に役立つとされています。英国では医薬品として用いられている成分です。

γリノレン酸の健康効果
◎生活習慣病を予防する効果
◎アトピー性皮膚炎に対する効果
◎関節リウマチに対する効果
◎月経前症候群(PMS)に対する効果

目次

γ(ガンマ)リノレン酸とは?

●γリノレン酸の歴史
1887年に発見されたリノレン酸は、「α(アルファ)」「β(ベータ)」「γ(ガンマ)」などの種類があり、これらは発見された順番を表しています。つまり、γリノレン酸は3番目に発見されたということを意味しています。
γリノレン酸は、構造の中に炭素の結合を3つ持つn-6系の多価不飽和脂肪酸で、別名「ビタミンF」とも呼ばれています。また人間の体に必要不可欠な脂質のため、必須脂肪酸に指定されています。
n-6系とは、脂肪酸構造の中に炭素の最初の二重結合が、6つ目と7つ目の炭素の間にあることからそのように呼ばれています。これはリノール酸[※1]やアラキドン酸と同じ分類に入ります。
γリノレン酸は、正常で健康な皮膚の構造と機能に必要な成分です。不足すると水分の調節異常が起こり、乾燥を引き起こす上、皮膚のバリア機能が低下してしまいます。
γリノレン酸は、デイヴィッド・ホロビン博士[※2]のアトピー性皮膚炎に対する有効性の研究によって、広く有名になった成分です。この研究により、アトピー性皮膚炎患者の血中γリノレン酸含有量が健常者と比較すると50%しかないことがわかっており、非常に重要な成分であることが明らかになっています。このことから、γリノレン酸は主にヨーロッパ(イギリス、ドイツ、フランス)では医薬品としてアトピー性皮膚炎の治療に用いられています。

 

●体内での合成
γリノレン酸は、食べ物から摂取する以外にも、体内でリノール酸から合成されます。限られた食材にしか含まれていないγリノレン酸は、リノール酸を通じて間接的に摂取されることが多い成分です。しかし、このリノール酸(マヨネーズや油などに多く含まれる)の摂りすぎや、ホルモンバランスの乱れ、アルコールの過剰摂取により、γリノレン酸への変換が止まり、体内のγリノレン酸濃度が低下してしまうこともあります。また過剰症としては特にありませんが、ごく稀にげっぷや、吐き気、下痢などの症状が起こることがあります。

 

●γリノレン酸の代謝
γリノレン酸は、ジホモ・γリノレン酸[※3]を経てアラキドン酸に変換されます。ジホモ・γリノレン酸は生理活性物質プロスタグランジン系列の材料となる物質です。
プロスタグランジンとは、生体調節ホルモン[※4]のことで、体の各組織の働きを調節しているホルモンです。血圧や血糖値、コレステロール値の降下や、血液凝固の阻止、血管拡張、気管支拡張、子宮収縮など多くの作用が認められており、ごく微量でも強い生理作用[※5]があることが特徴です。

 

<豆知識>
ブドウ糖から製造されるγリノレン酸
天然の食品からγリノレン酸を摂取しようとすると、カシス種子や月見草種子、一部の藻類から摂ることができますが、どれも摂りにくいものばかりです。そのため、人工的に生産する技術が開発されており、ブドウ糖などの天然糖質を微生物によって発酵させる方法で高純度のγリノレン酸がつくられています。これによって、ドリンクやゼリーにγリノレン酸が添加された商品も誕生しています。

 

②母乳に含まれるγリノレン酸
γリノレン酸は髪や爪にも必要不可欠な成分です。産後、髪が抜けたり、アレルギー体質に変化してしまったりするのは、体内のγリノレン酸が母乳と一緒に外に出てしまうためです。
まだ抵抗力の弱い赤ちゃんにとっては、皮膚を正常に形成したり、バリア機能を高めたりするために必要不可欠な成分です。

[※1:リノール酸とは、人間の体内で合成できない不飽和脂肪酸の一種です。大豆油やコーン油などの植物性の油に多く含まれます。]
[※2:デイヴィッド・ホロビン博士とは、医学研究者であり、企業家、そして500を超える科学論文の著者兼編集者です。多くの疾患は、適切な脂肪酸を補うことにより軽減される可能性があるとして、アトピー性皮膚炎患者に対するγリノレン酸の効果を立証しました。]
[※3:ジホモ・γリノレン酸とは、γリノレン酸から代謝され、プロスタグランジンの材料となります。炎症を抑える効果を持っています。]
[※4:生体調節ホルモンとは、生きていく上で重要な生体機能を調節するホルモンのことです。]
[※5:生理作用とは、化学物質が生体の特定の生理的調節機能に対して作用することをいいます。]

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γ(ガンマ)リノレン酸の効果

●生活習慣病を予防する効果
γリノレン酸は、プロスタグランジンの働きにより血糖値やコレステロール値、血圧を下げる効果があります。血糖値やコレステロール値の上昇が動脈硬化や高血圧などを招くため、γリノレン酸の摂取は生活習慣病を予防する効果が期待されています。
また、γリノレン酸を継続して摂ることで中性脂肪の上昇を抑え、善玉(HDL)コレステロール値の低下を防ぐ働きがあることがわかっています。
これらの働きに加え、代謝促進などの働きもあることから、ダイエット効果も期待されています。【5】【6】



●アトピー性皮膚炎に対する効果

​γリノレン酸はイギリスやドイツ、フランスなどでは医薬品として扱われておりアトピー性皮膚炎の治療に用いられています。そのため臨床試験[※7]も多く実施されており、アトピー性皮膚炎の諸症状である「かゆみ」に対して有効であることが明らかとなっています。
また、重症アトピー性皮膚炎の患者179名を対象に行った臨床試験では、γリノレン酸が豊富な月見草油500mg含有カプセルを1日8個投与した結果、116名は症状の改善が認められています。その他にも多くの研究で、アトピー性皮膚炎に対して非常に効果的であり、重要な成分であることがわかっています。【2】【3】【7】【9】

●関節リウマチに対する効果
γリノレン酸はプロスタグランジンE2[※8]の産生を調節したり、炎症性物質の活性を抑えることで、関節リウマチの予防や治療に役立つという研究がされています。【8】【11】

●月経前症候群(PMS)に対する効果
月経前症候群(PMS)とは、月経前のイライラや胸の張り、むくみ、頭痛などの症状をいいます。原因として、エストロゲン[※9]とプロゲステロン[※10]のバランス異常ではないかと考えられてきました。しかし、近年の研究からは月経前症候群の症状を訴える女性の多くが、γリノレン酸の血中濃度が低いということが示唆されています。
これはγリノレン酸が材料となる、プロスタグランジンE1が関係しているといわれています。プロスタグランジンE1はアラキドン酸からつくられる生理痛などを引き起こすプロスタグランジンE2の働きを抑制し、ホルモンの分泌を正常化したり、細胞組織の機能を正常化したりするなどの効果があります。
体内のγリノレン酸量によって、ホルモンバランスが乱れ、子宮内膜が正常に機能しないなどの影響を受けるといわれています。

[※7:臨床試験とは、厚生労働省による承認前の薬剤(医薬品候補)などを、実際に、患者や健康なヒトに投与することにより、安全性(副作用の有無、副作用の種類、程度、発現条件など)と有効性(効果、最適な投与量・投与方法)を確かめる目的で行われる試験のことです。]
[※8:プロスタグランジンE2とは、アラキドン酸から合成される生体調節ホルモンのことです。発熱や破骨細胞による骨吸収、分娩などに関与しています。]
[※9:エストロゲンとは、女性ホルモンの一種で、卵胞や黄体から分泌される女性らしい体つきを促進するホルモンのことです。]
[※10:プロゲステロンとは、女性の体、特に子宮を妊娠の準備をするように変化させ、月経周期を決めるホルモンのことです。妊娠初期から出産までの間、妊娠を維持させる役目を果たします。] 

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γ(ガンマ)リノレン酸は食事やサプリメントから摂取できます

カシス種子油
○月見草油
○母乳
○ボラージオイル[※11]

[※11:ボラージオイルとは、ボラージ草というハーブの種子から採れるオイルです。γリノレン酸を豊富に含み、保湿クリームなどに配合されています。] 

こんな方におすすめ

○生活習慣病を予防したい方
○偏食気味の方
○お酒をよく飲む方
○糖尿病でインスリンが不足している方
○アトピー性皮膚炎の方 

γ(ガンマ)リノレン酸の研究情報

【1】γリノレン酸450 mg を4週間摂り続けると、血清中のジホモ-γリノレン酸濃度は2~3.4%増加することが確認できました。4週間後飲むことをやめると、飲む前のジホモ-γリノレン酸の濃度に戻ることが確認されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22411689

【2】γリノレン酸は抗炎症作用を持ち、乾燥肌や軽度のアトピー肌での炎症や皮膚からの水分蒸発を防ぐのに役立ちます。この働きにより、γリノレン酸は乾燥肌や軽いアトピー性皮膚炎でのバリア機能を果たすと考えられています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22123240

【3】γリノレン酸は、リポ多糖による炎症関連物質のNF-κBや炎症促進蛋白質AP-1のはたらきを抑制することで、抗炎症作用を持つことがわかりました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19842026

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参考文献

・栄養成分の辞典 発行:株式会社新星出版社 発行者:富永 端弘

・健康食品のすべて 発行:株式会社同文書院 発行者:宇野 文博

・からだに効く 栄養成分バイブル 発行:株式会社主婦と生活社 発行者:坪中 勇

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